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【03.02.23】名古屋市の03年度予算案−「福祉・くらし」根こそぎ削り市民には耐えがたい痛み

2月23日「愛知民報」

 名古屋市は14日、2003年度予算案を発表しました。市民の運動と世論で実を結び、市民が誇りにし、守り続けてきた福祉給付金などの施策を改悪し、「財政健全化」の名のもとで市民に痛みを押し付ける内容です。「市の財政立て直しが市民の痛みと引き換えとしたら、『辛抱』の一言では済まされない」(中日新聞15日付)とまで報道されています。

万博、空港には手厚く大型事業にメス入れず

借金漬け記録更新

 予算総額は2兆8304億円で前年度比2・2%増となり、財源不足を補うために今年度に続き財政健全化債168億円を発行し、借金の返済用の公債償還基金230億円を5年連続で借り入れます。市債(借金)は、今年度当初見込みより745億円増え、総額3兆5113億円(市民1人当たり158万円から161万円)となり、史上最高の残高を増やし続けています。

トップダウンで

 新年度予算案は「各局に財源を配分し、経営感覚を発揮して自主的な予算編成をすすめるシステム改革」(予算編成の方針)とあるように、これまでの「積み上げ方式」から「トップダウン方式」でおこなわれ、今年度実施した「行政評価」を受け、施策の見直し・廃止が全面的に予算化されました。

 また、1月に市の社会福祉審議会が「今後の福祉のあり方について」をまとめ、「所得制限の導入」「受益者負担の原則」「民間活力の活用」などとともに、敬老パス、福祉給付金、保育料などを「水準の高い福祉施策」にあげ、これらの切り捨てを示しました。新年度予算案はこうした意向に沿ったものとなっています。

 一方で、万博や新空港など大型公共事業についてはメスを入れず、万博会場建設費補助金などに37億円、東部丘陵線73億円、名古屋高速道路203億円、新空港整備で10億円など手厚く盛り込んでいます。

高齢者の「命綱」を

 国保本人8割給付が改悪され、7割給付が4月から予定されていますが、お年寄りなどの医療費を助成してきた福祉給付金制度についても、市民税非課税の高齢世帯7万9000人が打ち切られます。同制度は1983年、老人医療制度が有料化されたとき、医療費無料を求める市民の運動を背景に始まりました。

 愛知県の制度では、市町村民税非課税世帯のうち、独り暮らしの高齢者だけを対象としていますが、名古屋市では独り暮らしだけでなく、市民税非課税世帯を対象とし、県制度の上乗せをおこなってきました。全国的にも名古屋市だけといわれ、松原市長とオール与党も2年前の市長選で敬老パスや国保本人8割給付などとともに「優れた施策」の一つにあげ、充実を公約していました。

 今回の改悪は、県制度よりさらに後退させるものであり、市民の運動と世論の成果をなくしてしまうものです。なお、元気なお年寄りの「宝」敬老パスは、新年度は現行のままですが、次年度以降の見直しが明らかになっています。

値上げが目白押し

 介護保険は、保険料が約1割値上げになり(基準額・月額2876円から3153円に)、要支援・要介護認定者を対象に配食サービス(週7日を限度に1日1食)が10月から実施され、65歳以上の保険料について第2段階のうち約5400人を対象に第1段階に軽減します。また、要介護認定者で世帯全員が市民税非課税世帯の場合、サービス利用料負担緩和のための要介護者等福祉金は月額7500円が5千円にカット。民間社会福祉施設運営費補給金も10%削られます。

 成人基本検診と各種がん検診についは、対象年齢を35歳以上から40歳以上に引き上げ、70歳以下は有料に。満75歳以上に贈呈している敬老医薬品券(750円)や数え100歳以上の祝品贈呈まで削るケチケチぶりです。市立図書館や文化小劇場などの駐車場の有料化、市立大学の授業料値上げ、同大学病院新病棟の個室料金値上げが予定されています。

 さらに地下鉄・市バスの運転本数削減が計画され、市バス運転手など638人の職員削減、職員給与については人事院勧告に向けての民間調査も始まっていないのに職員給与カットをおこなおうとしていますが、市民生活に影響を与え、民間の賃金抑制とともに景気をいっそう冷え込ますことになります。

 そのほか、消防団運営費や老人クラブの補助などの2割カットも予定されています。

修正をもとめ全力−2月議会で日本共産党市議団

 新年度予算案には、市民の粘り強い請願署名の運動などで前進した施策が盛り込まれています。

 乳幼児医療費の無料化は、入院だけでなく通院についても小学校入学前まで拡大しました。今後、所得制限の撤廃を求める運動が求められます。このほか、学童保育所の障害児の受け入れ対象は4人以上でしたが2人以上に緩和し、肢体不自由児のための障害児学級を小学校に新設します。

 地震対策では、民間木造住宅の耐震診断が全額助成となり、木造住宅の耐震改修が上限60万円助成に。小中校の耐震診断で「優先して対策が必要」(評価供2)とされた校舎などの耐震改修工事が未完了の56校のすべてで実施されます。港区稲永出張所に救急隊が増隊されます。

 日本共産党名古屋市議団は2月定例会で市民の福祉や暮らしを守る自治体らしい自治体づくりのために、予算案の修正を求め全力を尽くすことを明らかにしています。

名古屋市の市債残高(億円)
  一般会計 特別会計 公営企業会計 合計
1988 5,596 580 10,975 17,151
1989 5,859 579 11,675 18,114
1990 6,065 612 11,998 18,676
1991 6,544 614 12,431 19,590
1992 7,076 827 12,906 20,809
1993 7,975 975 13,435 22,387
1994 9,015 1,245 13,530 23,792
1995 10,607 1,500 13,701 25,809
1996 12,087 1,652 13,886 27,626
1997 13,046 1,732 14,069 28,848
1998 14,042 1,751 14,059 29,853
1999 14,793 1,728 14,169 30,691
2000 15,368 1,769 14,374 31,512
2001 16,283 1,818 14,562 32,664
2002 17,391 1,883 15,093 34,368
2003 18,022 1,949 15,142 35,113

名古屋市2003年度予算案
会計名 2003年度予算額
(単位:千円)
2002年度予算額
(単位:千円)
対前年度比率
(単位:%)
一般会計 1,026,683,000 1,040,802,000 98.6 93.8
特別会計 1,338,120,358 1,228,638,526 108.9 106.5
公営企業会計 465,677,007 496,783,153 93.7 99.7
病院関係 26,083,697 26,483,667 98.5 99.4
水道関係 84,469,664 90,464,732 93.4 103
下水道関係 157,156,510 160,008,486 98.2 104.5
交通関係 197,967,136 219,826,268 90.1 95.2
合計 2,830,480,365 2,766,223,679 102.3 100.2

おもな福祉施策の「行政評価」と名古屋市2003年度予算案
事項 内容 行政評価 2003年度予算案
外部
「水準の高い福祉施策」
敬老バス 65歳以上対象(他の政令市は70歳以上、所得制限あり) B C 見送り
要介護高齢者等福祉金 要介護者で世帯全員が市民税非課税(他の政令市なし) C C 月額7500円
  →5000円に引き下げ
福祉給付金 名古屋だけ B C 高齢者の市民税非課税世帯を
支給対象から削減
保育料 軽減率は政令市中1位 - - 見送り(2002年度値上げ)
国保本人8割給付 名古屋だけ - - 4月から7割給付に改悪
成人基本審査 35歳以上は名古屋と仙台だけ。多くの都市が有料 C C 35歳以上無料
 →40歳以上〜70歳未満は1000円に有料化
「水準の低い福祉施策」
生活援助型食事サービス 名古屋と北九州を除き市内全域で実施 B B 介護保険横出しで市内全域実施
延長保育事業 政令市で実施率11位 B B  
行政評価の「市」は市が実施した「14年度実施結果」、「外部」は名古屋市行政評価委員会が実施した外部評価。
【行政評価の記号】
A=計画通りに事業を進めることが適当。B=事業の進め方の改善の検討。 C=事業規模・内容の検討。 D=事業の抜本的見直し、休・廃止の検討(名古屋市社会福祉審議会資料などから作成)

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