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【05.09.25】あぶない。戦争体制づくり
愛知県国民保護計画(案)

9月25日「愛知民報」

 政府は3月25日「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法。2004年9月施行)にもとづき国民保護措置を実施する際の「基本指針」を決定しました。愛知県は8月9日「基本指針」を具体化した「愛知県国民保護計画案」をまとめ、8月23日に開いた第1回愛知県国民保護協議会に諮問しました。9月30日まで県民に同計画案にたいする意見を求めています。県は、12月に同協議会の答申、国との協議を経て、来年1月には決定にもちこむつもりです。

官民総動員
 県がこの計画で想定している武力攻撃のケースは、「武力攻撃事態」として(1)着上陸侵攻(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃(3)弾道ミサイル攻撃(4)航空攻撃、「緊急対処事態」として列車・航空機の爆破、放射性物質・生物・化学兵器を使用したテロです。
 県計画案では、武力攻撃の予測段階で、政府の通知をうけた知事は県国民保護対策本部を設置し、県庁挙げての24時間対応の臨戦態勢をとり、国の出先機関、市町村、自衛隊、電気、ガス、運送、放送、通信、医療などの民間事業者、消防団、自主防災組織などの「総合調整」をはかり、戦争遂行へ官民あげての動員体制を構築します。

住民に犠牲
 県がおこなう「国民保護措置」は、住民の避難、避難住民の救援、武力攻撃災害への対処。
 政府が警報や避難措置の指示を発令した場合、知事は住民に避難を指示します。避難住民の誘導にあたるのは市町村です。
 知事は、政府の救援指示をうけ、避難住民や被災住民の救援をおこないます。救援措置は、収容施設の供与、食品・飲料水、生活必需品の給与・貸与、医療の提供、助産、学用品の給与、被災者の捜索・救出、死体の捜索・処理などです。墓地の埋葬可能数、火葬場の火葬能力も事前に把握するとしています。民間医療機関に救護班の派遣が要請されます。
 救援物資の調達にあたっては、収用、保管命令、土地利用など公用令書による強制措置も可能となります。
 国民保護法の上位にある「武力攻撃事態法」は、憲法が保障する基本的人権、「国民の自由と権利が「制限」される場合があることを認めています。救援物資の運送には運送事業者が動員されます。

米軍優先
 米軍や自衛隊の軍事行動と「国民保護措置」が競合する場合、どちらを優先するのか。
 県国民保護計画案は、「自衛隊及び米軍の行動と避難経路や避難手段」が重なる場合や「自衛隊や米軍の行動と国民保護措置の実施について、道路、港湾施設、飛行場施設等における利用のニーズが競合する場合」、県は国の「利用指針」をふまえて対応するとしています。
 「武力攻撃事態法」は、「予測事態」の段階から米軍と自衛隊の軍事行動を最優先する立場に立っています。「米軍支援法」は米軍の行動支援を地方自治体に義務づけ、「特定公共施設利用法」は、空港、港湾、道路などの米軍や自衛隊の軍事利用優先を定めています。
 「国民保護」は事実上、米軍と自衛隊が主導します。軍隊の軍事行動を円滑にするため、住民の安全確保の名で住民に「避難」が強制されることになります。

防災体制を利用
 「武力攻撃災害」は国民保護法で採用された新しい概念で、武力攻撃による人の死亡、負傷、火事、爆発などによる施設の被害です。
 県は、武力攻撃災害の防除と軽減にあたるとして、水道、電気などの生活関連施設や石油コンビナートの安全確保、NBC攻撃(放射性物質、生物・化学剤による攻撃)による汚染の拡大防止に取り組むとしています。
 国民保護法は、官民の防災体制を戦争体制に組み込もうとしています。県国民保護計画案は、消防団を「避難住民の誘導等に重要な役割をになう」と位置づけ、平素の訓練は「防災訓練との有機的な連携に配慮」するとしています。自衛隊幹部や軍事専門家を講師に予定し、消防団員、自主防災組織リーダーを研修対象に含めています。

米戦争支援の有事法制
 政府は有事法制の国会審議で「日本有事」の具体的な可能性を示せませんでした。小泉内閣が昨年12月に策定した「防衛計画の大綱」は「見通し得る将来において、我が国に対する本格的な侵略生起の可能性は低下」と明記しています。
 「武力攻撃事態法」は、アメリカの先制攻撃による戦争に自衛隊を参戦させ、日本国民、地方自治体、民間事業者を軍事行動支援に動員する仕組みをつくりました。
 一連の有事法制や9条改憲の動きと合わせて国民保護計画案を検証することが求められます。

 

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