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【05.01.30】名古屋松原市政黒書(2) 
日本共産党名古屋市議団事務局長 平子直義

1月30日「愛知民報」

 教師出身の松原市長は、「教育」の実績について「5」と「通知表」をつけましたが、本当にそれにふさわしい中身だったのでしょうか。


◆小泉「三位一体改革」に追随
 松原市長は、小泉「三位一体改革」であげられている義務教育費国庫負担制度の廃止と税源移譲をセットで進めるべきだと求めています。現在、市内小中学校に配属されている教職員は県費職員ですが、政令市に移管される動きがあります。これが実現すると政令市は、100%教職員の給与等を負担することになります。義務教育費国庫負担制度の廃止は、憲法で保障されている「教育の機会均等」を奪い、税源移譲は負担金や補助金の8割しか委譲されないといわれており、これでは自治体にとって財政負担が重くなりプラスになりません。


◆教育現場は「ガマンも限界」
 松原市長が1期目に公約したトワイライトスクールだけは、全額市費が予算化され、全校実施めざし推進が図られています。しかし、学校の運営費などの予算は、「財政危機」を理由に「一律カット」され、特に光熱費などは大きく切りつめられてきました。
 名古屋市では、小中学校での教科活動や学校の維持管理に要する経費を標準運営費として各学校に配分しています。児童・生徒一人あたりの額は、2001年度をピークに大幅に減り、小学校では25%以上も削減(資料)。この結果、学校では、「廊下の蛍光灯は消す」「水を節約するために低学年からプール指導を行う」「学級通信は紙代がかかるので、回数を減らし、紙代は教師個人持ち」「老朽化した机は、壊れるまで取り替えない」という状態です。
 また、学校施設の耐震化が優先され、校舎の老朽化にともなう大規模改修は大幅に遅れ、改修の予定が立たない学校もあり、教育条件の整備はおろそかになっています。日本共産党市議団の追及に対し、市教委は「もう限界です」と議会で答弁する始末です。子どもたちを大切にし、ゆきとどいた教育を松原市政に望むことはできません。


◆30人学級と非常勤講師
 「よく分かる学習と、子ども同士、子どもと先生とのふれあいができる少人数学級」は、全国的に大きく広がっています。松原市政は、4年前、小学校1年生の30人学級を全市で実施しました。しかし、2年生に広げることについて「少人数授業・習熟度別学習で対応する」として拒んできました。ようやく2005年度には試行実施する運びとなりました。中学校や高校、養護学校への少人数学級は計画されていません。
 30人学級に伴う教員増については、身分が不安定で劣悪な労働条件の非常勤講師で対応しています。正規の採用枠がありながら臨時教員(講師)をあてがうなど、学校には様々な講師が毎年増え続けています。


◆全国最低クラスの高校進学率
 高校進学率(全日制)は、8年連続で全国最低(91.0%)といわれ、名古屋市立中学校卒業生は、90.4%と県平均よりも低くなっています。高校入試は、普通高校の推薦入試での合格率が2倍となり競争が激化、2校受験率が低下するなど複合選抜制の問題点がうきぼりとなっており、入試制度の根本的見直しが求められています。
 向陽高校定時制については、市民や卒業生などからの強い存続の声を無視して松原市政は廃止しました。


◆屋外プール 青年の家の廃止
 松原市政は、「受益者負担」や「採算性」を重視した施設の民間委託を推し進め、自治体の公共的役割を投げ捨てています。そうした立場から図書館やスポーツセンターなどの駐車場の有料化をはじめ、青年の家を拠点に活動してきた高校生や青年サークルに対する利用料の有料化と統廃合、老朽化を理由にして屋外(冷水)プールの閉鎖を順次進め、児玉プール(西区)と緑プールが2005年度から閉鎖、残りのプール運営には指定管理者制度が導入され民間会社などが参入します。

標準運営費の推移(一人当たりの金額)
年度
小学校
中学校
2000
38,539 
48,172 
2001
38,726 
48,849 
2002
36,390 
46,865 
2003
32,183 
41,521 
2004
29,197 
38,416 


 名古屋市政は松原市長によって住民の暮らしや教育の充実をはかるという自治体本来の仕事を投げ捨てています。

 

 

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