厚生労働・年金改革担当大臣 細川律夫様
日本共産党愛知県委員会 岩中正巳
国民健康保険は、加入者の所得が減っているにもかかわらず、保険料(税)がどんどん値上げされ、くらしを圧迫し、深刻な負担となっています。その最大の要因は、1984年以来、国庫負担が削減されてきたことです。国は国保財政への国庫支出金の割合を1980年代の約50%から25%へ半減させてきました。そのうえ、都道府県から市町村への独自の支出金が減っています。愛知県も1997年度に28億円あった支出金が、2010年当初予算ではわずか6%の1億7000万円の計上しかされていません。
その結果、愛知県においても、今年の6月1日現在で、国民健康保険加入世帯の2割を超える23万3883世帯が保険料(税)を滞納し、5000を超える世帯に、資格証明書が発行されています。
こうした中で、後期高齢者医療制度に代わる「新制度」を議論する厚生労働省の高齢者医療制度改革会議は11月16日、75歳未満が入る国民健康保険について、現行の市町村単位から都道府県単位に「広域化」する時期を「新制度」の法案に明記する方針を示しました。
「国保広域化」は現在行われている市町村の一般財源投入をできなくし、歯止めのない国保料(税)上昇を招くものです。都道府県単位の保険者づくりは民主党が掲げる「医療保険の一元化」とともに、もともと小泉・自公政権が医療構造改革の骨格として打ち出したものです。住民に対する市町村の負担軽減をやめさせ、国民に保険料引き上げか受診抑制かを迫って医療費削減を図ることが狙いです。住民の命と健康を守る社会保障制度としての公的医療保険を破壊する路線です。
後期高齢者医療制度の速やかな廃止とともに、国民健康保険の「広域化」に反対して、国庫負担の復元で国民健康保険を立て直し、住民のいのちとくらしを守るために、緊急に以下のことを貴職に求めます。
- 後期高齢者医療制度に代わる「新制度」を議論している高齢者医療制度改革会議に最終の「新制度」案は、高齢者を別勘定にし、差別する中身であり、しかも、低所得者の保険料を軽減する追加的な措置を段階的に縮小する内容になっています。この「新制度」案をベースにした法律案は提出しないこと。後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、当面、元の老人保健制度に戻すこと。
- 国民健康保険の「広域化」の検討を中止すること。
- 国の責任で国保料(税)をひとり当たり1万円、緊急に引き下げること。
- 国庫負担を1984年当時の水準(49・8%)に段階的に戻し、だれもが払える国保料(税)になるように改革を促進すること。
- 生活困窮者が増加するもとでも、制度を利用する人が極端に少ない一部負担金減免制度を使いやすいものにすること。
- 市町村が国保料(税)の軽減をすすめられるように、都道府県の財政支援を積極的に政策誘導すること。
- 生活困窮者からの保険証取り上げをやめさせること。
とりわけ、18歳年度末までの子どものいる世帯、母子家庭や障がい者のいる世帯、病弱者のいる世帯には、資格証明書を絶対に発行させないこと。義務教育修了前の子どもについては、窓口交付だけでなく、郵送も含め1枚も残すことなく保険証を届けること。 - 国として、保険料(税)を払いきれない加入者の生活実態の把握に努め、加入者の生活実態を無視した保険料(税)の徴収や差押えなど制裁行政をさせないこと。また、無保険者の調査を実施すること。
- 「国の制度」として子どもの医療費を所得制限なしで、まず当面は小学校入学前まで無料化する制度をつくること。
以上