第20回中小商工業全国交流・研究集会が9月2、3両日、豊橋市でおこなわれました。同集会・愛知県実行委員会委員長の森田茂県商工団体連合会副会長に話を聞きました。(本紙・錦見友徳)
ものづくり支える
―初日760人、2日目780人が参加する一大交流・研究集会となりましたね。
森田 ありがとうございます。地元の実行委員会責任者として本当に充実した集会にすることができたとうれしく思います。
交流会は、「中小商工業と地域の力で幸せで公正な社会を」をメインテーマに、2つのパネルディスカッションと基礎講座、13の分科会で経営の工夫やヒントを多彩に交流することができました。
愛知県での交流会開催は、1982年の第2回以来35年ぶりです。
愛知県は日本有数のものづくり産業が集積する地域です。トヨタ自動車など中心にいる大企業だけでなく中小企業の広い裾野がものづくりを支えています。同時に農業産出額は全国8位の農業県でもあります。キャベツなどの野菜や花き栽培が盛んです。
県下地域の地場産業などをめぐる移動分科会も好評でした。愛知の中小業者の経営努力の中に参加者が経営のヒントを見つけてくれたと思います。
最低賃金テーマに
―パネルディスカッション「小規模事業者支援と最低賃金(最賃)引き上げの可能性」は約100人が参加しました。
森田 私もパネラーとして発言しました。最賃をアップし中小事業者を守るためにはなにより大企業に責任を果たさせることが必要です。最賃の伸びは不十分ですが、下請け単価は上がるどころか一方的に切り下げを迫られるのが現状です。下請け単価には社会保険料負担は含まれていない場合が多く、小規模事業者にとっては社会保険料が重い負担となっています。
中小企業の経営者も働くものも共存できる経済条件を確立する共同の運動を強めようと呼びかけました。
最賃の引き上げをめざすエキタス東海の学生パネラーによる発言は新鮮でした。
彼自身がコンビニのアルバイトをしているのですが「僕たちバイトも店のオーナーも大企業の本部から搾り取られている」と訴え、「オーナーと一緒に生活水準をあげていこうと声をあげている」と話しました。
さらに「最賃1500円はゴールではない。持続可能な社会モデルを求めていきたい」と真剣に語っていました。
大企業が儲かればトリクルダウンが起きるというアベノミクスは破たんしています。安保法制に反対する新しい市民運動がはじまりました。経済分野でも若者たちと共同した運動がはじまると実感しました。
人権と財産守る
―森田さんの原点は
森田 名城大学の法科夜間部を1976年に卒業し、名古屋南部法律事務所に就職しました。その時の所長は日本共産党衆院議員の安藤巌さん(故人)です。安藤さんの初当選は私が大学2年生の時で、選挙運動を一生懸命やりました。
安藤さんは「法律家として、法律を通じて市民の人権と財産を守る」と言いました。あこがれましたね。
司法書士として独立し名南事務所を開設しました。大企業とはいっさい取引せず、市民と地域のための法律家を貫いています。所員8人のそこそこの規模になりました。市民との結びつきを広げ、誠実に仕事を積み重ねることが大切ですね。