新城市南部企業団地で操業している「タナカ興業新城工場」の産業廃棄物の堆肥化中間処理施設から発生する悪臭の防止を求める市民グループが7月23日、同市内で勉強会を開きました。勉強会に参加した元愛知県環境部職員の小山秀樹氏のリポートを紹介します。
私は、かつて愛知県環境部に勤務し、公害調査センター東三河支所で大気汚染と悪臭公害の調査研究をしていました。
悪臭発生源とされている「タナカ興業新城工場」の問題は、大きく3つあると思います。
①愛知県の情報公開で示された工場の図面を見ました。工場内で下水汚泥、動物性残渣、木チップの混合廃棄物を2回発酵させる工程ですが、これでは悪臭を防止することはできず、拡大します。悪臭の主成分はスカトールという大便やおならのにおいがするアンモニア系の物質です。
対策とされているロックウール脱臭方式では煙突が設置されていないことも異常だと思います。もし、この方法で悪臭の対策がされている事例があれば公開していただきたい。
このようなことは、県環境部が分かっていることなのに、適切に指導しないのは理解できません。
②臭くて工場の従業員が窓を開けないと作業できないので、周辺の工場や住宅に悪臭が拡散していると思います。工場の従業員が窓を開けなければ作業ができないことと、周辺の工場の労働者が「臭くて仕事ができない」など、労働安全衛生上問題が生じていることから、労働基準法に照らして、労働基準監督署に訴えることができると思います。
③新城市が「基準以下」というこの間のいい加減な測定結果を盾に住民の多くの苦情に真摯に向き合わない姿勢を正すことが必要です。市は悪臭防止法に基づいて苦情に向き合うべきです。
【新城市悪臭公害問題】愛知県企業庁が造成した新城市南部企業団地に進出していた企業が2010年に倒産。跡地を13年5月に産廃中間処理業者タナカ興業(本社・豊橋市)が取得。県が「製造業・物流業」とする立地条件を緩めたことによるもの。反対の住民運動が起きたにもかかわらず、県は15年11月に産廃中間処理施設の事業を認可。タナカは翌年4月操業開始。