小学校で来年度、中学校で2019年度から実施される道徳の教科化を考える講演会が2日、名古屋市内でおこなわれました。愛知県消費者大会実行委員会が主催しました。
これまで小中学校の道徳は、教科外の活動として「道徳の時間」とされてきました。15年の学習指導要領改定で児童生徒に教えるべき特別の教科とされ、文部科学省検定教科書が使われることになりました。国家による特定の価値観押し付けや皇民化教育をおこなった戦前の「修身」復活を危ぐする声が高まっています。
今年の教科書検定で文科省は、東京書籍作成の小学1年用の道徳教科書の「にちようのさんぽみち」という内容に対して「我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つという点が足りない」と指摘。東京書籍はこの題材に登場する「パン屋」という記述を「和菓子屋」に変更し検定に合格しました。
日本共産党の宮本徹議員は4月10日の衆院決算行政監視委員会で、国による「特定の価値観の押し付けだ」と厳しく批判しました。
講演で憲法学者の木村草太首都大学東京教授(写真)は、「個人の数だけ道徳体系があり、各人が道徳的立法者。お互いの道徳的価値観の違いを認め合うことが大切。各個人で違っている道徳のもとでつくられた一定の規範が法。道徳を法のように規範化して押し付けることは許されない」と強調しました。
教科書展示会にいったという教員は、「安倍首相の顔写真が大きく使われている道徳教科書があった。首相の宣伝に教科書を使われているようで違和感を感じた」と語りました。