愛知民報

【17.07.09】農業分野の外国人労働者受け入れ 「慎重な対応を」 

 6月16日の参院本会議で、派遣労働の仕組みで農業分野の外国人労働者受け入れを可能にする国家戦略特区法改定案が自民、公明、維新などの賛成多数で可決・成立しました。共産、民進、自由、社民の各党は反対しました。

 愛知県労働組合総連合の榑松佐一議長は愛知県議会6月定例会に「農業外国人特区への慎重な対応を求める」請願を提出し、27日開かれた農林水産委員会で意見陳述をおこないました。
 請願事項は、実習生の失踪理由の調査と具体的な失踪防止策▽自治体と地方農政局、労働局などを構成員とする「適正受入協議会」の体制充実▽派遣機関による不正な管理の防止▽派遣先での作業内容の明示の4点。

 愛知県は昨年11月、国家戦略特区として農業分野での外国人労働者受け入れを可能にする規制緩和をするよう国に提案しました。施設園芸を中心とした県内の近郊農業に外国人労働者を受け入れることで労働力不足を解消し、経営規模拡大や輸出促進など競争力のある「強い農業」を実現しようとするもの。

 県内で農業に従事する外国人技能実習生は昨年10月末現在、275人。約8割の212人がキク、トマト、バラ、洋ランなどの施設園芸に従事しています。酪農など畜産を含めると施設型農業で9割以上を占めます。

 日本の技術の海外移転を名目とする技能実習制度ですが、低賃金や長時間労働など違法行為がまん延。大量の失踪者を出しています。法務省は昨年末、職種別の失踪者数を明らかにしました。9―10月の失踪者数は953人。うち292人が建設業、195人が農業関係。2業種で半数を占めます。