愛知民報

【17.07.02】鉄道網維持は国の責任で 日本共産党 シンポジウム 路線廃止、駅無人化を告発

会場いっぱいに聴衆が集まった、鉄道のあり方を考えるシンポジウム=6月25日、名古屋市中村区

愛知の鉄道路線図。シンポジウムでは鉄道駅と地域を結ぶバス路線など2次交通の貧弱さや県内で交通空白地域が広がっていることが指摘された

 全国で鉄道路線の廃止が相次いでいます。2000年の鉄道事業法の改悪により、事業者が路線を廃止をする場合の国への手続きがそれまでの許可制から届出制に変更されました。その後、地方部での路線廃止が加速しました。鉄道路線の維持は、地域住民の「移動の権利・交通権」を守るとともに、地域再生の資源を確保する大きな課題です。日本共産党愛知県委員会は6月25日名古屋市内で、「鉄道のあり方を考えるシンポジウム」を開き、県内の鉄道の現状と安全確保・サービス改善に向けた運動を語り合いました。

 シンポジウムでは、交通問題研究者で6月に『JRに未来はあるか』(緑風出版)を著した上岡直見環境経済研究所代表と衆院国土交通委員の本村伸子日本共産党衆院議員が報告しました。
 上岡氏は、愛知県とその周辺の公共交通空白地帯の分布、年代別の運転免許保有率、病院やスーパーの立地などのデータを紹介。「歩いてバス停に行くことすら難しい地域がある」と述べ、買物や通院などの利便性向上を強調しました。
 本村氏は、2000年以降に全国で路線廃止が相次ぎ、鉄道ネットワークが分断されたことを指摘。「JR本州3社(東日本、東海、西日本)の利益の一部を活用するだけで、赤字4社(北海道、四国、九州、貨物)の穴埋めは可能」と述べ、鉄道網維持の政策実現に力を入れる必要を強調しました。
 駅の無人化の問題では、①安全が損なわれる②バリアフリー化に逆行③利便性が損なわれる④治安面での不安―の問題点を挙げ、国に事業者への指導を迫った日本共産党の国会論戦を紹介。強引に無人駅を増やすJR東海の対応を厳しく批判しました。
 参加者からは、「JR東海は蒲郡市内の3駅を無人化するが、市民に説明しようとしない」(日恵野佳代蒲郡市議)、「幸田町内のJR3駅全てが無人化される。町当局がJRに陳情しているが対応は冷たい」(丸山千代子幸田町議)、「名鉄西尾・蒲郡線を存続・維持するための県補助の復活を議会で要求した」(しもおく奈歩愛知県議)など発言がありました。

 ★2000年以降廃止された愛知の鉄道
 【名鉄三河線】西中金―猿投8・6㌔㍍、碧南―吉良吉田16・4㌔㍍。→ともに2004年4月1日廃止。
 【桃花台新交通】小牧―桃花台東7・4㌔㍍。→2006年10月1日廃止。
 【名鉄モンキーパークモノレール線】犬山遊園―動物園1・2㌔㍍→2008年12月28日廃止。

日本共産党の鉄道政策

 日本共産党は4月28日、政策提言「鉄道路線廃止に歯止めをかけ、住民の足と地方再生の基盤を守るために―国が全国の鉄道網を維持し、未来に引き継ぐために責任を果たす」を発表。
 柱は、①JR北海道をはじめ全国の鉄道網を維持するために国が乗り出す②地方鉄道の廃止を防止するための国の支援制度を緊急に拡充する―の2本。
 ▽JR北海道の路線廃止を食い止める緊急対策を国がおこなう。国はJR北海道に積んだ経営安定基金取り崩しや財政投融資活用など責任を果たす。
 ▽中長期的には公共交通基金を創設し全国鉄道網を維持するための財源を確保する。財源は道路関連税やJR本州3社の利益を組み入れる。
 ▽災害を原因とする鉄路廃止をなくすため災害復旧基金を創設。
 ▽中小私鉄・第3セクターの経営基盤を強化する支援をする。
 ▽鉄道廃止の手続きを届出制から認可制に戻す。