愛知民報

【18.07.15】リニア新幹線公益性を欠く 大深度地下使用公聴会ですやま氏ら陳述

 JR東海は、最高速度500㌔㍍で東京―大阪間を結ぶリニア中央新幹線の工事に着手しています。
 全線286㌔㍍のうち、約256㌔㍍が深さ40㍍より深い大深度地下あるいは山岳トンネルです。愛知県内では春日井市坂下町4丁目から名古屋市中区丸の内1丁目までの約17㌔㍍が大深度地下です。
 JR東海は今年3月、リニア中央新幹線の大深度地下使用の認可申請を石井啓一国土交通相におこないました。同申請は、2001年に施行された「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」にもとづくもので大深度地下に道路、河川、鉄道など「公共の利益となる」施設を造る場合に必要な手続きです。認可されれば住民や地権者への立ち退き料などの補償が不要になります。
 国土交通省は6、7の両日名古屋市内で、JRから出された愛知県内の大深度使用認可申請について住民の声を直接聞く公聴会をおこないました。公聴会では、リニア中央新幹線の「公益性」を問う意見が続出しました。
 すやま初美さん(日本共産党参院愛知選挙区予定候補)は「リニア新幹線は採算性に大きな問題を抱え、ばく大な国民負担、環境破壊、電力の浪費など道理のない事業であり、大深度地下の認可をするべきではない」と主張しました。

国土交通省主催の公聴会で陳述する、すやま初美さん=6日、名古屋市内

 春日井市の川本正彦さん(春日井リニアを問う会)は、列車火災時の避難路が十分確保されていない▽活断層を横切る▽黄鉄鉱を含む地層「美濃帯」を掘削することによる土壌汚染▽亜炭鉱跡近くを掘削することによる地盤沈下などのリスクなどに触れ、「大深度地下の要件である環境保全の要件を満たしていない」と指摘しました。  豊田市の小林収さん(リニア市民ネット)は、「3兆円もの公的資金が投入されている国策事業でありながら、私企業だからといって談合問題で情報を出さないのはおかしい」とJRの隠ぺい体質を批判しました。