6月市議会 江上議員
名古屋市は6月19日開会の市議会6月定例会に、名古屋城天守閣の木造復元用の木材を調達するために竹中工務店と約94億5000万円で契約する議案などを提案しました。
同月22日におこなわれた市議会本会議での同議案に対する質疑で日本共産党の江上博之議員は、木造化した後の名古屋城天守閣のバリアフリー問題を取り上げました。
河村たかし市長は、「歴史的建造物を次世代に引き継ぐことが任務」として木造天守閣にエレベーターを設置しない方針を示しています。
江上氏は、市が福祉都市環境整備指針で「『人にやさしいまち名古屋』をめざします」と市の公共建築物のバリアフリー整備をうたっていることを示し、「同指針ができて以降、新しい公共建築物を建設するにあたって、指針の運用を守らなかった施設があるのか」とただしました。市側は「指針に基づくよう何らかの措置を行っている」と答弁しました。
河村市長は、「新しい技術」として「車いすで乗降可能なはしご車」や「装着型の移動支援機器」を例に出しています。江上氏は、障がい者から怒りの声が出ていることに触れ、「誰もが一緒に登れる新しい技術は現時点であるのか。2022年までにできる見通しがあるのか」と追及しました。
市側は、「介護用のパワーアシストスーツがある」と回答。江上氏は「歩ける人を補助する技術で車いすとは関係がない。求めている機器はない」と批判しました。
エレベーター不設置抗議 車いす使用者ら500人デモ
名古屋市が2022年に木造復元を計画する名古屋城天守閣にエレベーター設置を求める集会とデモ行進が6月19日おこなわれ、500人を超す車いす使用者らが参加しました。主催は、県内の障害者団体などでつくる「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」。
中区の久屋広場から名城公園まで行進した後、名古屋市役所前で、「絶対必要、エレベーター」「誰もが登れる名古屋城」「市長は差別をやめろ」「新たな差別を作るな」などと声をあげました。
主催者あいさつで近藤祐次愛知県重度障害者団体連絡協議会事務局次長は、「エレベーターは車いす使用者だけではなく、荷物が多い人やベビーカー使用者も使います。天守閣に気軽に上がれないことは排除そのもの」と述べました。
集会には東京、大阪、沖縄など県外からの参加がありました。車いすで参加した岐阜県笠松町の戸田二郎さん(67)は、「河村市長のかたくなな態度の背後には〝障がいは不幸なもの〟として存在を認めようとしない優生思想がある。時代逆行だ」と語りました。