複雑な制度
愛知民報社は、日本共産党愛知県議団の協力を得て県内の保育の状況を市町村別にまとめました(2017年4月1日現在)。
政府は2015年4月、「子ども・子育て支援新制度」を実施しました。保育に対する国と自治体の責任を後退させ、保育事業を営利企業にゆだねるものです。
新制度は「多様な保育を選択できる」とされていますが、非常に複雑で、施設・事業によって資格者の割合や施設・設備などの基準が異なり、保育に格差が生じる問題を抱えています。
要件緩和
新制度の保育供給の方式は、①公立・私立の保育所と認定こども園などを通じた「施設的給付」と、②家庭的保育(保育ママ・定員5人以下)、小規模保育(定員6人以上19人以下)、事業所内保育(従業員+地域枠)、居宅訪問型保育の4事業の「地域型保育給付」に分けられます。
『あいちの保育問題資料集2017年度版』(あいち保育研究所編)によれば、17年4月1日の保育受け入れ枠は約280万人分。うち公立・私立の保育所は約224万人分で圧倒的多数です。
地域型保育事業で多いのは、ビルやマンションの一室を利用する小規模保育事業で受け入れ枠は約5万7千人。全員が保育士資格保有者の「A型」と、保育士配置基準が2分の1以上の「B型」があります。市町村長がおこなう研修を修了した者であれば従事できる「C型」は設置されていません。
3歳で退園
愛知保育団体連絡協議会の石原正章事務局次長は小規模保育事業について、「国は手っ取り早い待機児童解消策として導入しましたが、0歳から2歳が対象で、3歳からの預け先に困る保護者が増えています。保護者も公立・私立の保育所に空きが出ればすぐに転園するので、運営者側も長期的に子どもを見る展望を持つのが難しい」と指摘します。
認可外施設
16年に導入された「企業主導型保育事業」の保育士配置基準は2分の1以上です。
認可施設に入れない子どもの受け皿あるいは病院や企業内の託児を含む「認可外保育施設」は、3分の1以上が保育士であればよいとされています。