愛知民報

【18.04.15】前川元次官授業に文科省が介入 不当支配許さない 共産党 名古屋市北区でシンポ

 前川喜平前文部科学事務次官を講師に招いた名古屋市立八王子中学校(北区)の公開授業について、自民党議員の働きかけを受けた文部科学省が授業の内容や前川氏を招いた経緯などを詳細に報告するよう問い詰めていました。地元の日本共産党名古屋東・北・西・中地区委員会は7日名古屋市北区で、緊急のシンポジウムを開き、折出健二愛知教育大学名誉教授、たけだ良介日本共産党参院議員らが「不当な支配に屈してはならない」と抗議の声をあげました。

会場いっぱいに集まった、自民党・文科省による不当な介入を許さない緊急シンポジウム。立って報告しているのは折出健二愛知教育大学名誉教授=7日、名古屋市北区

 

たけだ良介参院議員が国会報告

 文科省が名古屋市教育委員会に対しておこななった調査は、前川氏を講師にした授業について「同氏を招いたねらいは何か」「公開したねらいや意図は何か」「交通費や謝金の支出はあったのか」など2回で計約30項目の詳細な質問のメールを送付し、録音データの提出まで求めていたというもの。高圧的で執ような内容でした。
 前川氏は、安倍首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり行政がゆがめられたことを実名を挙げて告発した人物です。文科省の行為は、政権に逆らう人物だから授業をチェックし、呼ばないよう圧力をかけるというものです。
 シンポジウムで、折出氏は今回の介入問題について、「新自由主義と新保守主義が癒着した政策の積み重ねが背景にある。授業の検閲を許してはならない」と訴えました。
 たけだ氏は、3月23日に参院文教科学委員会でおこなった日本共産党の吉良よし子議員の質問を紹介。「文科省が名古屋市教育委員会への執ような調査をおこなったのは、教育への国家的介入の抑制をうたった憲法・教育基本法の原則に反する不当な支配にほかならない。安倍強権政治の毒が回っている」と述べ、自民党議員言いなりの文科省の対応を糾弾しました。

 

国会報告をする日本共産党の、たけだ良介参院議

 

安倍政権の教育政策 管理統制と競争主義

 折出氏は、安倍政権の教育政策の特徴について、①道徳の教科化②政府の統一見解に基づいた記述を求める教科書検定基準の改定③政治介入の恐れがある教科書採択制度の改変④首長の意思が教育行政に反映しやすくなった教育委員会制度の改変⑤大学の学長権限の強化⑥「政治教育」の抑制―をあげました。
 「教育や内心に対する国家による管理・統制・介入を強化する政策と競争原理や成果主義といった経済的価値を優先する政策が絡みながら進行している」と強調しました。

 

「圧力」自民議員に市民が抗議

 

昨年の総選挙で安倍首相(左)の応援を受ける池田佳隆衆院議員=同議員のホームページより

 自民党文科部会長の赤池誠章参院議員(比例)と池田佳隆衆院議員(比例東海)は文科省への働きかけを認めています。名古屋が地元の池田議員は、2012年初当選で3期目。昨年の総選挙では、出馬した愛知3区(名古屋市昭和区・天白区・緑区)で落選し、比例復活しました。総選挙では安倍首相が池田氏の応援に訪れました。いわゆる〝アベチルドレン〟です。
 池田氏は、元日本青年会議所(JC)会頭。2006年6月、衆議院教育基本法特別委員会に参考人として出席。〝自虐史観〟を批判する立場から「国家として本気で取り組む道徳教育、そして愛国心醸成教育が日本再生の大きな柱になると信じて止みません」「戦後植え付けられた贖(しょく)罪国家意識を払拭する」などと持論を展開しました。
 「安倍9条改憲NO!憲法を生かす天白の会」は3月27日、同区内にある池田氏の事務所に抗議に行きましたが不在。電話も通じず、抗議文を郵便受けに投函しました。

 

 

問題の経過

2月16日=前川氏が講演
  17日=池田佳隆衆院議員(自民党文科部会長代理)が赤池誠章参院議員(同会長)に「中日」報道を見せ、赤池氏が文科省に問い合わせ
  20日=文科省が赤池氏に説明
  22日=文科省が池田氏に説明
3月1日=文科省が市教委への質問を作成。池田氏からの2点の注文を受け書き直した上で15項目のメールを送信
  6日=再質問のメールを送信
  7日=市教委が回答
  16日=市教委がメールを公開
  20日=林文科相が議員両名の照会があったことを発表