JR東海が2027年に開業を予定するリニア中央新幹線の「インパクト(衝撃)」と、訪日外国人観光客を呼び込む「インバウンド」をあてにしたインフラ整備や企業誘致が愛知県内の自治体で進められています。多額の公金を投入しても失敗すれば、不良資産になりかねません。土地区画整理事業、幹線道路建設、新駅建設、大型ホテル誘致を進めている東海市を見てみました。
東海市は1日開会した市議会に、リニアインパクトで観光客を呼び込む事業を盛り込んだ予算を提案しました。
2015年4月に閉院した旧市民病院跡地を所有者の不動産会社から9億1000万円で取得する費用を計上しました。
市はそこにホテルを誘致する予定。ルートインジャパン(本社・東京都)を優先交渉者に決定したことを明らかにしました。東海市は16年、「東海市ホテル等の誘致に関する条例」を制定。自民系・公明・鉄鋼大企業系の議員は賛成しました。進出したホテル事業者に固定資産税・都市計画税・下水道料金相当額を交付する制度を設けています(左囲み)。
日本共産党の辻井タカ子議員は1日の本会議でホテル誘致について、「住民生活を置き去りにして観光政策を進めるもの。経営不振で撤退したら大変。名鉄太田川駅前にはすでに建設中のホテルがある」と批判しました。
日本共産党市議団がおこなった市民アンケートの設問「暮らしで負担が重いと感じられるもの」に対する回答の多くは、消費税をはじめ、所得税、市県民税、固定資産税、国民健康保険税などの税負担でした。
辻井議員は、学校給食センター明倫調理場の雨漏りを告発。「ドライ方式の調理場に雨水がたまり、細菌が繁殖し食中毒が起きたら大変。職員が必死でかき出しモップで拭いている」。同センターの一刻も早い改修を要求しました。
公共施設の整備・更新について辻井議員は、「最優先されるべきは既存施設の維持管理、更新、耐震化や老朽対策。道路拡張や新規の大型開発ではない」と述べました。
東海市のホテル等誘致交付金制度
①ホテル等新設交付金(50室以上)
②ホテル等増設交付金
(10室以上増室し、増室後50室以上)
固定資産税および都市計画税相当額を交付
(1年度1億円が限度。5年度)
③ホテル等事業運営交付金
下水道利用料相当額を交付
(1年につき500万円を限度。
100室以上の場合1000万円。60カ月)
市議選 18日告示 25日投票
東海市議選(18日告示、25日投票)の告示が1週間後に迫りました。定数22をめぐり有力25陣営が競り合う大激戦の様相です。日本共産党は現職の坂ゆかり市議と、今期勇退の辻井タカ子議員に代わる新人の近藤みほこさんを擁立。現有2議席の確保に向け、宣伝・支持拡大・党勢拡大に全力をあげています。
2月24日におこなわれた演説会では、井上さとし参院議員(比例代表予定候補)が駆けつけ、市議選と参院選での共産党の前進を訴えました。
坂議員は前回当選後の全議会で本会議質問。降下ばいじん規制を主張してきた実績を語りました。元看護師・ケアマネージャーの近藤候補は、安心できる介護制度の実現を訴えました。