総事業費9兆円
リニア中央新幹線は、強力な磁気により浮上・走行する車両を使って最高時速500㌔㍍で走る鉄道です。2027年に東京―名古屋間を先行的に開業し、45年に新大阪に延伸する計画。
東京、神奈川、山梨、静岡、長野、岐阜、愛知の1都6県を直線で結びます。全線約286㌔㍍のうち約256㌔㍍が深さ40㍍より深い大深度地下または山岳トンネルです。
事業主体はJR東海。同社は当初、9兆円の事業費を〝全額自己負担〟するとしていました。国が2014年に認可した工事実施計画は、自己負担が前提でした。
ところが、JR東海の山田佳臣社長(現会長)は、「リニア事業は絶対にペイしない」と言い出しました。
国家プロジェクト
リニア中央新幹線を成長戦略に盛り込み〝国家的プロジェクト〟と位置づける安倍自公政権は16年、公的資金3兆円を投入。国債の一種である財投債を発行して集めた資金を独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて超低利でJR東海に貸し付ける仕組み。JR東海の「全額自己負担」という言い分は崩れました。
安倍首相は今年の年頭記者会見で「完成すれば、伊勢神宮にもっと短時間で参拝できるようになる」と推進を表明しました。
安倍政権は、リニア事業を全国新幹線鉄道整備法にもとづく公益事業に位置づけ、土地収用法の対象として、用地買収や建設残土の処分場選定に地方自治体を協力させています。
JRは、土地買収の実務を愛知県土地開発公社や名古屋まちづくり公社に委託しています。地上から掘り下げる開削工法をとる名古屋駅周辺では住民の立ち退きが迫られています。
ゼネコン談合発覚
昨年12月、名古屋駅西工区、名城非常口などに関わる談合疑惑で大手ゼネコンに家宅捜索が入りました。
日本共産党愛知県委員会は12月27日、疑惑の解明と工事中止を求めて国土交通省中部運輸局に要請しました。同党名古屋市議団は1月15日、愛知県議団は29日にそれぞれ市、県に用地買収受託事業を中止するよう求めました。