愛知民報

【17.02.26】兵器生産の拠点愛知で 軍学共同ノー 大学を平和の砦に

 安倍政権は、安保法制・戦争法のもと、地球規模の日米一体の軍事力強化をねらい、民間の科学・技術の軍事利用をすすめています。F35戦闘機製造など航空兵器の生産拠点の愛知で、軍学共同研究に反対する運動が広がっています。

県内大学に

 大学や公的研究機関、民間企業がおこなう開発研究に、防衛省が資金提供する安全保障技術研究推進制度。同省は「最終的には兵器開発につなげる」と明言しています。
 制度創設の2015年度の予算額は3億円。16年度は6億円に倍増。17年度政府予算案では110億円に拡大されました。
 15年度には、愛知県内の豊橋技術科学大学の研究者が、化学戦用の防毒マスクに転用できる特殊繊維の開発で資金を受けました。
 大学関係への研究資金は米軍関係からも。報道によると、04年名古屋大学5千?、09年名城大学250万円、10~16年名古屋工業大学4520万円がそれぞれの大学関係者に渡っています。
 池内了名古屋大学名誉教授らは今年1月31日、参院議員会館で記者会見し、防衛省には同制度の廃止、各大学・研究機関には応募しないよう求める緊急署名を呼びかけ。署名は全国に広がっています。

名大シンポ

 名古屋大学で2月4日、同校の平和憲章制定30年の記念シンポジウムがおこなわれました。
 名古屋大学の平和憲章は教職員や学生が、1987年2月5日に制定しました。大学は戦争加担のあやまちを二度とくりかえしてはならないとして、軍関係機関との共同研究や研究資金の受け入れはおこなわないと宣言しています。
 当時、学生として平和憲章制定実行委員会に参加した樽井直樹弁護士は、名古屋大学の平和憲章は過去の話ではないとして、「時の権力や権威によって平和や民主主義が脅かされようとしている時に、新たなたたかいのよりどころを生み出す力をもっています」と強調しました。
 明治大学は1月5日、全国紙に掲載した大型広告で、「軍事利用を目的とする研究・連携活動の禁止」を明記しました。

市民運動

 軍学共同研究に反対する大学人の動きに連帯し、市民の運動も広がっています。
 安保法制・戦争法廃止を求める行動では、南スーダンからの自衛隊撤退、共謀罪反対とともに、軍学共同研究反対が共同スローガンになっています。

制度廃止を 名古屋大学名誉教授 沢田昭二さん

 科学者は、科学や技術が戦争の道具にされると、戦争の悲惨さが増大してきたという歴史的事実を認識しなければなりません。
 科学は、真理探究により人類全体の幸せに貢献するものです。軍事研究をする人は科学者とは言えません。
 いまこそ名大平和憲章の理念に立ち返るときです。
 軍事研究推進制度は廃止し、大学が本来の役割を発揮できるよう国立大学運営費交付金や私学助成金の増額を求めます。

名古屋大学平和憲章(抜粋)

 わが国の大学は、過去の侵略戦争において、戦争を科学的な見地から批判し続けることができなかった。むしろ大学は、戦争を肯定する学問を生みだし、軍事技術の開発にも深くかかわり、さらに、多くの学生を戦場に送りだした。
 こうした過去への反省から、戦後、大学は、「真理と平和を 希求する人間の育成」を教育の基本とし、戦争遂行に加担するというあやまちを二度とくりかえさない決意をかためてきた。
 大学は、戦争に加担するというあやまちを二度とくりかえしてはならない。われわれは、いかなる理由であれ、戦争を目的とする学問研究と教育には従わない。そのために、国の内外を問わず、軍関係機関および、これら機関に所属する者との共同研究をおこなわず、これら機関からの研究資金を受け入れない。また軍関係機関に所属する者の教育はおこなわない。
(1987年2月5日制定)

大学研究 防衛省下請けに 日本共産党 井上参院議員批判

 日本共産党の井上さとし参院議員は昨年12月の参院外交防衛委員会で、安全保障技術研究推進制度は「大学の研究を防衛省の下請けにする制度」だと批判しました。
 同議員は、同制度の研究資金の交付対象になっている無人機用の新素材の開発目的を質問。稲田防衛相は「有人機の戦闘支援のため」と、無人機の戦闘使用を認めました。