大村秀章愛知県知事は、20日開会の県議会2月定例会に2017年度予算案を提出しました。一般会計は2兆5210億円(前年度比0.2%減)。予算編成の柱のトップは「リニアインパクトを生かした中京大都市圏」「産業首都あいち」で、「リニア・ジェット・FCV」を看板にした大企業応援と大型公共事業の推進が特徴。「大企業がもうかればその恩恵が暮らしに回る」という破たんしたアベノミクスの愛知版です。
リニア(JR東海)
大村県政は、JR東海が2027年開業をめざすリニア中央新幹線の建設支援に前のめりです。新年度予算案には、名古屋駅のスーパーターミナル化推進費約3433万円を計上。中部国際空港から名古屋駅へのアクセス向上に向けた調査費約695万円を付けています。JRから県が受託したリニア保守用地(春日井市)の取得事業費1257万円が含まれています。
不要不急の中部国際空港2本目滑走路を推進する事業費約2962万円、道路関係は総額約880億4500万円。名古屋環状2号線や西知多道路など自動車用道路の建設を推進します。
ジェット(三菱重工)
大村県政は、兵器産業と一体の航空宇宙産業の強化を図っています。県営名古屋空港に隣接する三菱重工小牧南工場では、小型旅客機MRJとともに、航空自衛隊の新型戦闘機F35の組み立てがおこなわれています。県の新年度予算案では、県営名古屋空港の滑走路北西部分に約2?のMRJ用駐機場を新設する予算約6億円が付けられました。
今年11月30日オープン予定の見学施設「あいち航空ミュージアム」の整備費は約48億円。ターミナルビルを運営する第3セクター名古屋空港ビルディングが指定管理者となる予定。管理運営の委託費は約881万円です。
FCV(トヨタ自動車)
大村県政は、トヨタ自動車を頂点とする自動車産業の応援をしているのが特徴です。
燃料電池自動車(FCV)の普及に欠かせない水素ステーションの整備費は約8億398万円。2025年度末の整備目標は100基。16年度末の実績は22基です。
遠隔型の自動走行車両の実証実験の事業費は約1823万円。FCVなどを対象した県独自の自動車税課税免除を18年度末まで延長します。
企業立地のために大盤振る舞いする補助の予算は約92億2600万円。法人県民税10%減税に相当する45億円の産業空洞化対策減税基金が新規に積み立てられます。
国際展示場に49億7000万円 観光予算の7割
県は新年度予算案に、観光を推進する予算約56億1826万円を盛り込みました。16年度の約9億4000万円の6倍。うち約49億7500万円は常滑市の中部国際空港島に建設される国際展示場事業費です。実施設計をおこない建築工事に着手する計画です。展示場は1万平方?の展示ホール6室で、19年秋の開業予定。
県は、常滑へのカジノを含むIR(統合型リゾート)の誘致を検討中。日本共産党県議団は昨年12月議会で「言語道断」と批判しました。
福祉・教育で前進 日本共産党県議団の論戦実る
福祉・教育分野では、県民の運動と日本共産党県議団の論戦が反映し前進しました。
すべての特別支援学校の普通教室と特別教室の空調設備設置(約5721万円)、肢体不自由児の特別支援学校のすべてのトイレの洋式化(約1155万円)などの事業費が盛り込まれています。
知的障害の特別支援学校の過大化解消の学校新設費約8億4132万円が付きました。
軽度・中度の難聴児対象の補聴器購入費用助成事業費(約478万円)、特別養護老人ホーム(新規3カ所300人)など介護施設の整備・増床があります。
県営住宅の維持管理費は47億9000万円。前年度比2億6000万円増です。
長時間労働の是正など働き方改革に取り組む企業への支援費約1951万円が計上されました。