日本共産党名古屋市議団は4日、河村たかし市長の市民税減税を検証するシンポジウムをおこない、市民ら約140人が参加しました。同党の山口清明議員、中村強士日本福祉大学准教授、遠藤宏一元南山大学教授が発言しました。
経済効果なし
山口議員は、「市民税減税条例の第1条に市民生活の支援、地域経済の活性化、将来の地域経済の発展に資するとありますが、どれも実現できません」と述べ、一律5%の市民税減税によって、納税額が多い大企業・高額所得者ほど減税額が多い?金持ち減税?になっている実態を紹介。市の調査報告で「経済効果はないこともはっきりした」と語りました。
行革推進
山口氏は、「減税の真の目的は行革(行政改革)の推進、『小さな政府』づくりです。意図的に財源を減らし市民に犠牲を押し付ける行革のテコになっている」と告発。
山口氏は「現行の5%減税を中止した場合、116億円の新たな財源ができます。小学校給食の無料化や少人数学級の拡大、国民健康保険料の引き下げ、住宅リフォーム助成など市民向け施策ができる。ゆがんだ減税に終止符を打ち、住みやすい名古屋を実現しましょう」と訴えました。
新自由主義
遠藤宏一元南山大学教授は、河村市長のマニフェストの3点セット?市民税減税と市職員人件費総額削減?議会改革・定数削減?地域委員会制度創設について、「新自由主義の潮流を踏襲し、トップダウンの集権型で統治しようとするもの」と指摘しました。
また、河村市長の主張する「政治のボランティア化」について、「医療・福祉や教育を中心とする自治体の仕事は人的サービスが不可避。児童虐待対策や高齢者福祉のボランティア化は空想」と述べました。
専門職で
中村強士日本福祉大学准教授は、子どもの貧困と公立保育所の役割について報告。「公立保育所は、子どもと親が毎日通い、生活し所得制限なく専門職による支援を受けられる場。地域の子育て支援の拠点」と述べ、「親から子どもへの貧困の連鎖を断ち切るためにも大きな役割を果たしている」と強調しました。
出席市民の発言
給食民間委託
「新年度から学校給食の調理業務が民間委託される。職員の退職で人がいないから民間活力を導入するというのはおかしい。経験や安全性が担保されるか不安」(緑区桶狭間小学校児童の保護者)
公立園民間移管
「市営住宅の敷地内の保育園に通ってくる園児は、外国籍の子や生活保護受給家庭の子が多く、丁寧な支援、信頼関係づくりが欠かせません。今後どれだけの社会福祉法人が手を上げるのか、限界ではないのか」(社会福祉法人の保育士)
図書館指定管理
「指定管理では職員が頻繁に入れ替わり、市職員の技能が継承されない。業者言いなりになる。試行した志段味図書館は赤字」(緑区図書館利用者)
学校教員流出
「小中学校の教員が不足している。臨時教員の任用期間終了後の2カ月の再雇用禁止規定があるため、臨時教員が他市町に流出している」(臨時教員)
河村市長語録 福祉は地域委、市役所はお城づくり
・(市民税減税は)生活支援のためじゃない。
・減税すると全分野で否応なしに構造改革がはじまる。ムダづかいをなくそうという強烈な動機になる。
・福祉にムダがないわけではない。公益寄付金とか民営化という手法を使って福祉をもっと向上させる。
・福祉は地域委員会がやる。市役所は名古屋城づくりをやる。
・中区役所はユニクロにまかせる。
・(愛知県知事、名古屋市長、財界代表らの中京都独立戦略本部は)愛知・名古屋株式会社の取締役会。