愛知民報

【16.10.16】県産宇宙ロケット 増す軍事利用 

 気象衛星や宇宙探査機を打ち上げるH2Aロケット。名古屋港に面する三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所飛島工場(海部郡飛島村)で組み立てられている国産の高性能ロケットです。安倍政権のもと、宇宙ロケットや人工衛星の軍事利用が急速に増えています。その目的には、地球上の戦争で相手を殺害する無人攻撃機の操縦が含まれています。
 

ドローン戦争

 米国は、戦場から遠く離れた場所から宇宙の人工衛星を介して無人機(ドローン)や誘導ミサイルを操縦し、標的とする人物を殺害する「ドローン戦争」をおこなっています。
 全地球の位置を測定するGPS(全地球測位システム)は、無人機を遠隔操作するカナメです。

準天頂衛星

 今年3月、日本共産党の井上さとし参院議員は参院予算委員会で、政府が日本版GPSと呼ばれる準天頂(じゅんてんちょう)衛星を現在の1機体制から7機体制に増やす問題をとりあげました。
 この質問のなかで、井上議員は、アフガニスタンでの無人機攻撃で殺害された人々の85%は標的以外であったことを示し、無差別攻撃であることを告発しました。

米戦略の補強

 準天頂衛星体制の増強は米国の要求でもあります。内閣府宇宙政策委員会委員長の葛西敬之氏(JR東海名誉会長)は、米国は同国のGPSをバックアップする「日本版GPSである準天頂衛星の充実・強化」を求めているとして、「七機体制を早急に具体化していくことが必須になりました」(『時評』15年6月号)と語っています。

軍需大企業

 
 準天頂衛星の?号機「みちびき」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱電機が共同開発し、2010年に打ち上げられました。
 打ち上げに使われたのが三菱重工飛島工場で組み立てられたH2Aロケットです。

宇宙基本法

 2008年に制定された宇宙基本法は、宇宙開発・利用の目的として「安全保障に寄与する」と軍事目的を明記しました。
 12年のJAXA法改定では、「平和目的に限り」という業務規定が削除されました。
 宇宙の軍事利用を推進しているのは、経団連と軍需大企業です。
 経団連は、「障害の一つとなっているのが、わが国の宇宙利用を『非軍事』に限定した1969年の宇宙の平和利用に関する国会決議である」と攻撃。障害除去のため、「宇宙基本法」の制定を求めました。

日米同盟強化

 今年4月、安倍内閣が閣議決定した宇宙基本計画は、「宇宙安全保障の確保」を第一目標に位置づけ、「米国との衛星機能の連携強化等によりアジア太平洋地域における米国の抑止力を支える」と述べています。
 葛西敬之氏は「日米協力体制の構築に寄与するということが、まさにこの宇宙基本計画の真価」(前出書)と語っています。

県民の警戒

 
 愛知の大村県政は、「リニア・ジェット・FCV」応援を県政の最大課題にしています。ジェット=航空宇宙産業の国際的な拠点づくりは、日本を米国とともに海外で戦争する国につくり変える動きと表裏一体です。
 いま、県民の中に、愛知を拠点とする宇宙軍拡への警戒が広がっています。

米軍無人攻撃機支援衛星打ち上げ