愛知民報

【16.10.09】病院が消える? 県地域医療構想案

安倍政権は、2014年に成立させた医療介護総合確保推進法で都道府県に「地域医療構想」を策定させ、強権的に病床削減をおこなわせようとしています。愛知県が示した構想案は東三河南部地域で1391床を減らすというもの。日本共産党は撤回を要求しています。
 

共産党議員が議会で追及

 今回の地域医療構想案で大きな影響をうけるのは、豊橋市などを含む東三河南部、北部両地域です。同地域の9月議会で日本共産党議員が追及しました。
 豊橋市議会では、鈴木みさ子議員が「豊橋、豊川、蒲郡、田原の4市で削減する1391床は、豊橋、豊川、蒲郡の3市民病院の病床数1622床に匹敵する」と指摘。自治体病院が消えかねないと警告しました。
 蒲郡市議会で日恵野佳代議員は、「病床を減らしたら、介護施設が足らず、自宅療養になれば家族の負担が重い」と指摘。市から県に「ベッドは減らせない」と意見を出すよう要求しました。稲葉正吉市長は「市民病院のベッド数を減らす考えはない。県に伝える」と答弁しました。
 県議会では、日本共産党の、しもおく奈歩県議が「東三河地域は、ベッド数を減らすのではなく、むしろ充実すべき。国いいなりの病床削減、患者追い出しをねらった構想は中止・撤回し、医療体制の充実こそ求められています。病床数の是正に従わない公立病院にペナルティを課すのは認められません」と厳しく批判しました。

蒲郡市長答弁「ベッド減らす考えない」

 
病床数382の蒲郡市民病院(写真)は、同市と周辺自治体約12万人の2次医療を担っています。県の地域医療構想案にもとづく試算では同病院の病床削減数は135床になります。

医療費の大削減ねらう

 愛知県地域医療構想案は、県を11地域に分け、病床を高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4機能に分類、2025年の必要病床数を算出しています。
 県全体で合計1202床を削減する構想案です。
 医療介護総合確保推進法は、都道府県が地域医療構想を実現するために、民間の病院に病床数削減を要請、勧告することができるとしています。
 要請に従わない場合は、病院名の公表、補助金や福祉医療機構の融資からの除外、地域医療支援病院や特定機能病院の承認取り消しまで認めています。
 県は、民間病院に協力を「要請」する一方、自治体病院には「指示」ができるとしています。自治体病院が病床削減の調整弁とされる危険があります。