愛知民報

【16.08.07】介護「新総合事業」利用遠ざける“水際作戦”サービス切捨てを許さない

 安倍自公政権は社会保障予算の「自然増」(高齢化による介護サービスや年金の支出増)削減を基本方針としています。同政権は2014年、介護保険制度を大改悪する「医療・介護総合法」を強行しました。その内容は?「要支援1・2」のヘルパー・デイサービスの保険給付はずし?特養入所の「要介護3」以上の限定など。「要支援1・2」の人は保険から除外され、市町村が実施する「新しい介護予防日常生活支援新総合事業」に移行します。

要支援はずし

 「新総合事業」は、これまで介護保険で全国一律の給付をおこなっていた訪問介護サービスや通所介護サービス(デイサービス)を“自助・互助”を前提にした「安上がりサービスに」変えていく仕組み。2018年4月までが準備期間とされています。
 従来「要支援1・2」の人に提供されていた訪問介護、通所介護は「新総合事業」に移行されます。
 介護保険により全国一律の基準で提供されていたサービスは、市町村の裁量で決められる仕組みに。
 サービスの担い手は、従来の事業者のほかにボランティアの活用も認められます。

利用者振り分け

 介護サービスを希望する人を保険給付から遠ざける仕組みも。要介護認定では、専門家による訪問調査や主治医の意見書が反映されますが、今回の制度改悪では?振り分け?の仕組みが導入されます。
 相談を受け付ける市町村の窓口などでは、日常生活の状況や足腰の状態、歯や口の健康、物忘れ、抑うつなどの有無を聞く「基本チェックリスト」による判定がおこなわれます。 日本共産党の岡田ゆき子名古屋市議(市議会財政福祉委員)は「介護サービスを希望する高齢者が細かいアンケートに答えること自体が負担。介護認定の申請窓口で機械的に排除する?水際作戦?になりかねない。注意が必要」と指摘します。
 名古屋市は昨年11月、社会保障充実を求める「愛知自治体キャラバン実行委員会」にたいし、「希望された場合は、これまでと同様に申請書を受理させていただく予定」と回答しています。
 

市町村に働きかけを

 介護の充実を求める会愛知連絡会の赤星俊一代表世話人は、「市町村主体の総合事業は、全国一律の介護保険水準からのサービス後退が見られます。これまでの介護保険水準を維持するように各市町村に働きかることが重要」と話しています。

愛知社保協が総会

 愛知県社会保障推進協議会(愛知社保協)は7月30日名古屋市内で総会を開きました。 医療、介護、国保、年金、障害者福祉、生活保護など、あらゆる分野で国民に負担増を押し付け、貧困と格差を広げる安倍政権の社会保障連続改悪に反対する運動に全力をあげる方針を決めました。
 長友薫輝三重短期大学教授が講演。「社会保障充実は地域経済を活性化させる」と強調しました。
 総会は、森谷光夫議長、小松民子事務局長を選出しました。