愛知民報

【16.07.31】交通弱者の外出を支援 くらし支えるコミュニティバス 試乗ルポ 尾張東部地域

 「買い物や病院に行きたくても不便。路線バスは廃止された」――。国が2002年、道路運送法改定でバス事業者の参入・撤退を自由化したことで、地域公共交通が破壊されました。これに対して地域住民や日本共産党議員らが自治体にコミュニティバス運行を要求し、県内の多数の自治体で実現しています。(本紙・村瀬和弘)
 

くまなく走る

 長久手市が運行するコミュニティバスの愛称は「Nバス」。7コースで運行されています。車いすでも利用できるノンステップバスと、狭い道でも走れる8人乗りワンボックス車を併用しています。路線バスが走らない生活道路を走ります。
 市役所にはNバス専用ターミナルが設けられています。Nバスを待っていた80歳の女性は「バスで5分くらいのところに住んでいます。無料で気軽に出かけられるのが一番。最大の介護予防です。本当に助かっています」と話しました。
 運賃は1乗車100円。市役所など乗り継ぎポイントで他路線を利用するときは乗り継ぎ無料券が発行されます。市内在住の65歳以上と障がい者には無料優待カードが発行されています。

市役所で乗り継ぎ

 日進市の「くるりんばす」は8コース。すべてのコースが市役所玄関前の専用ターミナルに乗り入れています。
 子どもを2人連れた若い母親は車内で記者に、「バスが行きたい所からどんどん離れていく。乗る方向を間違えたのかも」と聞いてきました。その母親はバスに乗るのは初めてとのこと。記者が市役所にいけば他のバスに乗り継げること、係員に聞くことができることを案内すると安心した様子でした。

市町をまたいで

 鉄道や一般路線バスとの乗り継ぎや、市町の境界をこえて運行する努力もおこなわれています。
 長久手市のバスは名古屋市営地下鉄藤が丘駅に乗り入れ。同市内の愛知医科大学では瀬戸、尾張旭両市のバスに乗り継げます。尾張旭市は路線バス、長久手、瀬戸両市のバスに乗り継ぐバス停案内図を配布しています。

愛知県は支援を しもおく奈歩県議

 日本共産党の、しもおく奈歩愛知県議は6月24日の県議会振興環境委員会で、市町村のバス事業に県が積極的な支援をおこなうよう要求しました。
 しもおく議員は豊橋市北部の石巻地域で運行されている「柿の里バス」に乗車して利用者から聞いた「病院やスーパーの入口にも止まるので便利。バスに乗ると知らない人とも話がはずむ」という声を紹介しました。
 しもおく議員は隣の岐阜県が交通空白地域の人口を把握し、コミュニティバスに補助を出していることを指摘。「市町村はバス事業に努力している。愛知県も補助をつけるべき」と強調しました。

県内の市町村バス(本紙調べ)