海上自衛隊のイージス艦「こんごう」が16日から3日間、三河港(豊橋市)に入港し、一般公開されました。同港の振興を目的に地元8市町村が主催した「海フェスタ東三河」のイベントの一つ。平和団体は「ふ頭で隊員の募集業務をするな」と抗議の声を上げました。
子どもに制服
岸壁には自衛隊愛知地方協力本部のテントが立ち、自衛隊員募集のパンフレットが配布されました。陸・海・空の自衛隊の装備を紹介するパネル展や、広報担当者が募集対象の26歳以下の若者と面談するコーナー、子どもに制服を試着させ、記念撮影するコーナーがありました。
艦内の見学コースには、「自衛隊の魅力」「自衛官の待遇」「航海中の訓練内容」「艦内の生活」「艦内食堂の献立一覧」などの展示パネルが並びました。18―26歳を対象にした隊員による案内や、艦内食の試食会がおこなわれました。
模擬戦闘実演
甲板では防弾チョッキや潜水服の試着体験も。防弾チョッキを着込んだ隊員は「鉄砲の弾を避けなければならないから重いですよ。縄ばしごを使って敵の船の外側をよじ登って突入し、制圧します」と説明。「訓練用のおもちゃです」といって見学者の前でモデルガンを構えました。模擬戦闘の実演です。
米艦防護体制に
今回公開されたイージス艦「こんごう」は、1993年に就役。弾道ミサイルを迎撃する艦対空ミサイルを装備しています。2003年にはアフガニスタン戦争の米軍支援として、インド洋での給油活動の護衛に従事しました。
イージス艦は、自衛隊海外派兵の戦力として、安保法制=戦争法のもとで集団的自衛権行使の戦争に参戦する危険が指摘されています。
昨年7月8日の衆院安保法制特別委員会で日本共産党の畑野君枝議員が、自衛隊が平時から米艦防護の体制に組み込まれる危険を追及しました。中谷元防衛相は米艦に向かうミサイルをイージス艦が迎撃する可能性を認めました。
豊橋市長に抗議
愛知県平和委員会、平和を願い戦争に反対する愛知県戦没者遺族の会、原水爆禁止豊橋市協議会の3団体は7日、海フェスタ実行委員会会長の佐原光一豊橋市長あてに、軍艦の入港を許可しないこと、埠頭を使った募集業務をおこなわせないことを申し入れました。
三河港とは
三河港は、豊橋、田原、豊川、蒲郡各市にわたる港湾で、管理者は愛知県。港湾法上の「重要港湾」に指定されています。
豊橋市内の神野地区には、複数の欧米自動車メーカーが輸入拠点を置いています。2015年に同港から輸入した自動車の取り扱い金額・台数は約5359億円、18万2605台でともに国内最高です。