2015年、名古屋市西区の中学生がいじめを理由に自殺する痛ましい事件がありました。日本共産党名古屋市議団は3月27日、いじめのない学校と社会をめざすシンポジウムを開催しました。同シンポジウムでの尾木直樹法政大学教授の講演の一部を紹介します。
いじめ問題は、被害者、加害者をはじめとして、あいまいでなくすべてを明らかすることが解決の道です。
ある県で、飛び降り自殺をした男子中学生は、プロレスごっこといって毎日押さえつけられていました。教師は「大丈夫か」と声をかけ、生徒は「大丈夫です」と答えたといいます。
いじめられている生徒は「助けてください」なんて絶対に言わないものです。教師は、その屈辱的な姿を見て「おかしい」と感じなくてはいけません。もし本人が「楽しい」といっても、その状態を「ちくしょう、くやしいと思うことができることが大切だ」と教える必要があります。
いじめた子は、相手の気持ちがよく理解できていないことが多いものです。「そんなに相手が傷ついているとは思わなかった」と話します。教師は、いじめの加害生徒に対して「もし逆の立場だったら君はどう思うのか」と真剣に問い詰めなくてはいけません。
罰するというのでなく、いじめた子が相手の気持ちが理解できる人間になるように教育しなくてはなりません。それをあいまいにすると、また新しい子をいじめはじめます。
いじめ加害者の多くが社会に出てから大きな失敗をするのは人の気持ちが分からないからです。成人後の自殺率が高いといいます。人間らしい心を持つようにしないと将来が大変です。
教師が多忙すぎる現状を解決し、子どもたちに向き合うゆとりが必要です。教師が子どもに真剣に向き合うことができれば、いじめによる深刻な事態をなくすことはできます。