安倍首相がすすめるアベノミクスのもとで、大企業が空前の利益を出す一方で、国民の生活の厳しさが増し、貧困と格差、地域経済の疲弊が深刻化しています。今年の春闘は、憲法を守るとともに、すべての労働者の賃上げ、雇用の安定を求めるたたかいです。愛知の取り組みを紹介します。
愛知県労働組合総連合(愛労連)は昨年秋、自立した生活に最低限必要な最低生計費の調査を実施。組合員から998通の詳細な調査票が寄せられました。
「大学卒業後に就職した勤続年数3年の25歳男性」の最低生計費は月額22万5121円(時給換算1302円)。「同25歳女性」は月額22万5416円(時給換算1304円)となりました。
家賃は4万5000円、自動車は所有しないものとしました。
朝食と夕食は家で食べ、昼食は男性はすべてコンビニ弁当、女性は半分は弁当を持参するとした場合で計算しました。食費は月額で男性3万7900円、女性3万1319円が必要となりました。
約300項目に及ぶ家事用品は、所有率が7割を上回っている品目は必要と判断。価格は店頭調査しました。保健医療費、交際費なども詳細に計算しました。
大企業は社会的責任を 愛労連が臨時大会
愛労連は24日、蒲郡市内で臨時大会を開き、今年の春闘方針を確立しました。
榑松佐一議長は開会あいさつで大企業の社会的責任に触れ「アベノミクスで大企業収益は増えたが、賃上げは一部大企業にとどまっている」と指摘。トヨタの利益の1%を下請け企業に回せば県内22万人に月8000円賃上げできるという試算を紹介し、すべての労働者の賃上げを求めました。
知崎広二事務局長が?生計費に基づいた賃金要求の確立?戦争法廃止、憲法守る共同の推進?消費税増税・社会保障解体反対?原発再稼働・沖縄新基地建設・TPP反対?中小企業・地域経済活性化?7万人への愛労連組織拡大などの春闘方針を報告。2月11日のトヨタ総行動、2月18日の春の地域総行動の成功を呼びかけました。
最賃引上げに全力
すべての労働者の抜本的賃上げを実現するためには、最低賃金(最賃)の引き上げが不可欠です。愛知県の最低賃金は時給820円です。
24日の愛労連臨時大会は、最低生計費調査結果を「最賃大幅引き上げの根拠」と強調。時給1500円程度という合意を広げながら、「全国一律1000円以上の最低賃金実現」を求める署名運動や「最低賃金生活体験」を取り組むことが決めました。
膨らむトヨタの内部留保
アベノミクスのもとでグローバル大企業が史上空前の利益を上げ、内部留保を増やしています。連結内部留保の多い企業のトップはトヨタ自動車で、18兆5766億円。前年同時期の16兆7902億円から大幅に積み増しています。2014年度の大企業の内部留保額は合計約300兆円。そのごくわずかを取り崩すだけで賃上げができます。