愛知民報

【16.01.24】2016年度政府予算案 くらし切り捨て 軍拡・大企業減税 日本共産党愛知県委員会 政策委員長 佐々木 朗

 2016年度政府予算案は、2017年4月からの消費税10%大増税実施を前提に、一般会計総額96兆7218億円と過去最大規模になっています。国民には社会保障削減などの負担を押し付けながら、大軍拡、大企業減税、大型公共事業のムダ遣いをすすめるという反国民的な予算案です。

「リニア・ジェット・FCV」支援のバラマキ

 2016年度政府予算案の最大の特徴は、米国と一体に集団的自衛権を行使し、戦争法を具体化するための大軍拡です。

米軍と海外へ

 来年度の軍事費(防衛関係費)は5兆541億円で、2年連続して過去最高。当初予算で5兆円を超えるのは史上初めてです。
 中身は、F35ステルス戦闘機、新型空中給油機や垂直離着陸機オスプレイなど、海外で米軍と一体に戦争する装備を強化。辺野古新基地など米軍再編経費も2年連続過去最高です。
 愛知県営名古屋空港に隣接する三菱重工小牧南工場(豊山町)で生産される航空自衛隊の最新鋭戦闘機F35の購入費6機1084億円のほか、同工場にアジア・太平洋地域の整備拠点を設置する事業費が21億円が計上されます。前年度補正9億円とあわせ30億円です。
 同工場では空自のF35組み立て製造が昨年末から始まっています。
 F35の生産・整備拠点推進は、大村秀章愛知県知事の「ジェット」(航空宇宙特区構想)応援と重なります。

法人税率引き下げ

 第2の特徴は、大企業優遇の法人税減税ばらまきです。
 資本金10億円以上の大企業は、経常利益も当期純利益も過去最高を更新。株主配当も過去最高。内部留保は300兆円を超えています。にもかかわらず、大企業の法人実効税率を現行の32・11%から来年度29・97%へ、さらに18年度は29・74%まで引き下げます。
 減税の財源は、外形標準課税の税率引き上げです。赤字企業や利益に比べて給与の大きい企業は増税になります。中小企業が増税の苦境を乗り切るために給与引き下げ、人減らしなどを行うおそれもあります。
 「水素社会実現」に向けた予算は前年度比4倍の306億9千万円。「FCV」=燃料電池車普及としてトヨタ自動車などを支援します。

社会保障削減

 第3の特徴は、社会保障費の切り捨てです。
 来年度の社会保障予算案は、毎年の自然増1兆円規模を約半分に抑え込みました。
 入院給食費は1食あたり200円の負担増、後期高齢者医療保険料の引き上げ、年金は物価上昇にもかかわらず改定率ゼロです。
 消費税8%増税に伴い実施した「低所得対策」の子育て世代臨時特例給付金は打ち切られ、福祉給付金は半減されます。
 中小企業振興費は12年度以来の削減。教育費は教職員削減などで減額されます。
 地方自治体への交付金を減らす地方切り捨てなど、暮らし関係の予算は、軒並みマイナスです。

大型開発推進

 第4に、国民のくらしにしわよせをしながら、「ムダ」「環境破壊」などと批判される大型公共事業費を4年連続で拡大しています。
 三大都市圏環状道路や国際コンテナ戦略港湾整備費は大幅増。「原子炉の安全技術の強化」に95・5億円など原発再稼働やTPP推進のために約1500億円の費用が盛りこまれています。
 愛知に関わるリニア関連予算として鉄道技術開発補助金1億8800万円、東京、名古屋、大阪を一つの巨大都市エリアにするスーパー・メガリージョン構想の検討に2700万円を計上しました。
 名古屋駅周辺の再開発の予算も計上。内訳は社会資本整備総合交付金8983億3200万円、官民連携基盤整備推進調査費3億5700万円です。
 中部国際空港の第2滑走路建設の調査費・整備費は、今年度の4倍にあたる12億円です。
 設楽ダム建設事業は増額され52億円に。ダム本体工事に着手するために川の流れを変えるトンネル工事が予定されています。