社会保障や税の個人情報を国が一元的に管理するマイナンバー制度は、1月1日から番号利用・カード交付の運用が始まっています。個人情報を国が一手に握ることへの懸念や、昨年5月の年金個人情報流出などマイナンバーの危険性が浮き彫りになったままの見切り発車です。
昨年7月の内閣府調査で「特に期待することはない」と答えた人は31・2%、「不安に思うことを一つあげる」という質問では、「不正利用により被害にあう」38%、「プライバシーが侵害される」34・5%となっています。
対応の遅れも指摘されています。民間信用調査会社帝国データバンクの昨年8月調査では、約6割は何もしていません。対応を完了した企業は約2割にとどまります。
私たち小規模な事業者は、1人の従業員でも個人番号を扱えば法律上「個人番号関係事務実施者」として、「安全管理措置」(「特定個人情報が漏れないように対策しなさい」ということ)を維持しつつ、関係事務を無償で負うことになります。アルバイトを含む従業員とその家族や報酬・家賃の支払先の個人番号収集のため手間暇や神経を使わなければなりません。個人番号管理状況を取得、利用、提供、保管、廃棄のたびに記録する義務が生じます。個人番号が記載された書類は必ず鍵がかかる棚や引き出しに保管し、パソコンがインターネットに接続されている場合は、ウイルス対策ソフトを購入する必要があります。
その費用は従業員数「5人以下」でも40万円台が必要と言われています(帝国データバンク調査)。個人番号を管理することは、厳しい経営を強いられる小規模な事業者にとっては大変な負担増になります。さらに情報が漏れた場合、「4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金」が科せられます。
このように、小規模な事業者にはマイナンバーを管理することは大きな負担となり、経営にとっても大打撃となります。営業を破壊する制度は廃止するしかありません。