愛知民報

【15.09.13】住宅至近に巨大物流倉庫 騒音、渋滞などを危惧 春日井市

 春日井市の高蔵寺ニュータウンに巨大物流倉庫が立地する計画が持ち上がっています。周辺は住宅の密集地域。住民は貨物トラックの出入りによる騒音・振動・交通渋滞を心配しています。計画の白紙撤回を求める声があがっています。(本紙・錦見友徳)
 

オリックスが開発

 高蔵寺ニュータウンの北端にあたる高森台地区に物流倉庫の建設を計画しているのは総合リース業オリックスのグループ会社です。 同施設は地上4階建てで賃貸面積が5万8千平方?、ナゴヤドームの建築面積4万8千平方?を越える巨大施設です。最大94台の大型トラックが同時に貨物を積み下ろしできます。倉庫を賃借する業者は未定です。
 高森台4丁目北町内会の吉田明宏会長は「隣接地域には大規模な住宅地があり、荷物を積みおろしするトラックが毎日行き来されては住民は耐え難い」と顔を曇らせます。
 通勤者のマイカーによる朝の交通渋滞は現在でもひどく、トラックが加われば渋滞悪化も懸念されます。
 幼稚園、小中学校の通園・通学路もあるため、安全上も心配されています。倉庫による住宅への日照阻害も指摘されています。

誘致計画からの逸脱

 春日井市の高森台地区計画は「良好な住宅環境と整合を図りつつ、公害を及ぼす恐れのない頭脳集約型都市産業を誘致する」としています。高森台の住民は「物流倉庫進出は地区計画から大きく逸脱している」と怒っています。
 開発事業にともなう紛争を予防する市の条例は、開発計画の事前公表や意見調整を行うことを定め、解決できない時は、開発事業者と住民の間に市が入りあっせん、調停を行うことを規定しています。
 高森台の住民は今年3月、あっせんを伊藤太市長に申し出ました。住民側がオリックスに求めた事項は、建物の高さを上限15?とすること、夜8時から翌朝7時までは操業しないこと、産業廃棄物、可燃性物質などは扱わないことなどを求めました。
 しかし、市は「双方の主張に隔たりが大きい」と4月にあっせんを打ち切りました。
 住民はさらに調停を申し出ました。住民は調停前に、市長に、現場確認と住民との対話を求めましたが、市長は応じず、調停を6月に打ち切りました。

計画の白紙撤回を 日本共産党 春日井市議 内田謙

 3月議会の一般質問でオリックスの物流倉庫建設計画の白紙撤回、大幅修正にむけオリックスに働きかけることを市側に求めました。
 一般に物流企業は、24時間操業で、早朝から深夜までトラックが出入りします。騒音、排気ガス、振動、交通渋滞、どんな貨物が搬入されるのかなど近隣住民の間に不安が広がっています。
 春日井市の責任は重大です。なぜなら、今回の事業計画地は当初、「住居地域」として開発されたところにもかかわらず、市が1988年に制約が少ない「準工業地域」に用途を変更したからです。そのときの約束は「住環境を阻害しない。ニュータウンのイメージをアップさせる」というものでした。
 見切り発車は許されません。春日井市は企業進出について、住民合意が十分に得られるよう責任を果たすべきです。
 オリックスは、現在の計画を白紙撤回し、住民合意が得られる計画への抜本的見直しをすべきです。