愛知民報

【15.06.07】年金受給者212人が集団提訴 引き下げは憲法違反

 
 愛知、三重両県で年金を受給している高齢者212人は5月29日、国民年金・厚生年金支給額の減額処分の取り消し、減額された年金の総計312万1858円の支払いを求める訴えを名古屋地裁に起こしました。 
 昨年2月に全国で、年金減額を不服とする受給者12万人が厚生労働大臣に行政不服審査請求書を提出。愛知では9000人を超えました。「却下」の決定を受け、再審査請求の上、今回の提訴にいたりました。
 212人の原告は訴状で年金減額は生存権を定めた憲法25条、財産権を定めた29条、幸福追求権を定めた13条に違反すると主張。最低保障年金制度の導入など社会保障制度全体の改善を求めています。
 安倍自公政権は2013年10月から年金支給額を連続して削減してきました。2012年6月に民主、自民、公明の各党が取り決めた社会保障と税の一体改革に関する「3党合意」に基づく改悪です。
 同政権は、物価が急激に上昇するなか、今年度から年金支給額を物価の上昇率より低く抑える「マクロ経済スライド」を導入。実質目減りが押し付けられています。
 提訴前の集会で原告団を代表して発言した全日本年金者組合愛知県本部の伊藤良孝委員長は「裁判は不当な引き下げを許さない世論を強めるたたかい。全国の高齢者の生活と権利を守るために全力を尽くす」と決意表明しました。
 提訴行動に参加した男性原告(73)は「妻が早く亡くなり、自分の年金だけで生活しています。少ない年金から国民健康保険料や介護保険料が引かれ、手取りは半額くらい。本当に腹が立っています」と話していました。