愛知民報

【14.07.06】産廃処理施設反対で住民が運動 新城市 ?くさい町?に絶対しない

 新城市で産業廃棄物(産廃)中間処理施設建設に反対し、暮らしと自然環境を守る住民運動が広がっています。進出するのは豊橋市の産廃処理会社。食品廃棄物を発酵・堆肥化する工場を計画しています。「新城南部企業団地」の一角で、近隣は住宅が立ち並び、小・中学校や保育所があります。「くさい町には絶対にしない」「子どもたちが安心して遊べる町をつくりたい」という市民の声は愛知県、新城市に毅然とした対応を迫っています。(本紙・錦見友徳)

 新城市は自然豊かな東三河一帯の水源地域です。
 東名、新東名高速へのアクセスもよいとして愛知県企業庁は、市街地にも比較的近い優良地に新城市南部企業団地を造成しました。誘致企業は「製造業、物流業」を原則に地元雇用の創出をめざすとしています。 
 2010年、団地内企業の一つが倒産し、その跡地に産廃処理業者が目をつけました。 県は同団地の誘致企業は「製造業、物流業」とする条件をゆるめ、跡地は2013年4月に競売され、高値をつけた産廃会社タナカ興業が落札しました。 
 豊橋市内にあるタナカ興業の処理施設周辺では、廃棄物の発酵過程や運搬トラックから出る悪臭に住民から苦情が出ています。同社は新城市への進出前に、設楽町に処理場建設を計画しましたが、町民の反対で撤退しています。
 2014年1月に、同社が行った地元説明会では「悪臭を放つ産廃施設は受け入れられない」「子供たちが心配」など反対意見が続出。翌月には、住民グループによって反対署名も始まりました。
 3月4日、新城市が開催した住民説明会で市当局は「市は権限もなく県も手が出せない」という説明に終始。200人を超える参加者は納得せず、ほぼ全員が進出に反対。
 翌日には住民グループが1万3030人の反対署名を県知事に提出。5月17日に「新城の環境を考える市民の会」が開いた反対集会とデモ行進に280人が参加しました。
 新城市議会は、知事と企業庁に対して「誘致対象外の業種企業の土地取得は甚だ遺憾」「住民の大多数が不安と反対を表明しており適切な対応を求める」とする意見書を提出。
 運動が急速に広がる中で、県と市の対応が問われています。

県は産廃進出許可するな 日本共産党 新城市議 浅尾洋平

 新城市南部企業団地の事業主体は県企業庁です。新城市の立地条件の良さを生かして「優良な企業を誘致し、地元雇用創出につなげる」ということで、新城市も地元住民も協力してきました。
 ところが県企業庁は高値で売却するため、誘致対象外の業種企業の土地取得を容認したうえ、土地には愛知県の買い戻し特約が登記されていたのにその抹消にも応じました。
 現在、産廃の設置許可申請が県環境部に出されています。小中学校に近く、住民の大きな反対の中で、県の企業団地に進出を認めるのが適切か、県はよく検討すべきです。 
 私は市議会で、新城市当局は住民の立場で県に意見を言うべきと、繰り返し取り上げてきました。
 新城市は「人口が減り続け、消滅の可能性がある自治体」と指摘されています。
 産廃処理場の進出は自然豊かな環境を壊し、人口流出に拍車をかけることになりかねません。
 子育て支援や若者定住対策などが急務です。私は議会で、18歳までの医療費無料化や子育て世帯向けに市営住宅の家賃引き下げを行うことなどを提案しています。
 「産廃進出ノー」、住民のみなさんとともに頑張りぬきます。