人格形成から国策遂行へ 中嶋哲彦名古屋大学教授
この間の国会審議で、安倍内閣が教育への政治的介入を狙っていることが浮き彫りになっています。
5月27日の参院文教科学委員会で日本共産党の田村智子議員は、下村博文文科相がネット上に文科省作成の副読本『私たちの道徳』を家に持ち帰ることが義務であるかのような書き込みをしたことを取り上げ、国が教材を学校現場に押しつけようとする動きを告発しました。
下村文科相は、戦前の軍国主義教育の中心に置かれた教育勅語を「至極まっとう」と肯定・美化する立場をとっています。教育を通じ、「戦争する人づくり」を進める動きです。
教育への反動的攻撃に反対する県民運動が広がっています。
愛知の教育関係者らが6月1日に名古屋市内で開いた「教育委員会制度改悪に反対する県民集会」で講演した中嶋哲彦名古屋大学大学院教授(元犬山市教育委員)は、「教育はみずから学び発達する権利であり、大人が自分たちの都合で押しつけるものではない」と強調しました。
教育行政の任務について「物質的に教育権を整備するものであって、内容に踏み込むものではない」と力説しました。
中嶋氏は教育委員会制度を解体する地方教育行政法改悪案について、「現行制度は常勤の自治体職員である教育長が間違った方向に行こうとした時に、指揮監督権を発動して正すことができるもの。改悪案は教育長の権限を強化するものであり、首長の主義主張がトップダウンで持ち込まれる」と危険性を警告しました。
中嶋氏は安倍「教育再生」戦略について、公教育に規範主義的道徳教育と国家主義的歴史修正主義を持ち込むことや、大企業・財界が求めるグローバル人材育成、エリート主義に偏重していることを指摘。「人格形成の教育から国策を遂行する教育への重大な変質」と厳しく批判しました。
教育委員会改悪法反対 国民的共同を 日本共産党 県教委に申し入れ
日本共産党は、同党のアピール「安倍政権の『教育委員会改悪法』に反対する国民的共同をよびかけます」を教育委員会に届け、意見交換をしています。
同党愛知県委員会は5月30日、愛知県教育委員会に、戦争美化の「愛国心」教育や異常な競争主義教育を許さないよう申し入れました。もとむら伸子参院愛知選挙区予定候補、いたくら正文、柳沢けさみ、わしの恵子、すやま初美、満仲みゆき、しもおく奈歩の各県議予定候補らが参加しました。
同党県委員会は5月22日、同党名古屋市議団とともに、名古屋市教育委員会にも同趣旨を申し入れました。