愛知民報

【14.03.23】愛知の空港問題? 破たんした空港インパクト 日本共産党 元愛知県議 林信敏

 
 前号では、中部空港の利用減少を検証し、2本目滑走路建設構想の危うさに警鐘を鳴らしました。
 今回は、同空港関連の地域開発問題です。愛知県企業庁は、空港用地造成事業と一体に、2430億円を投じ、空港島内と対岸部(前島)に計230?という広大な埋立地をつくりました。
 国際空港ができると世界からヒト・モノ・カネが集まるから、企業用地を造れば国際臨空都市ができるという話で、国際企業のオフィス、ショッピングモール、テーマパーク、カジノが進出する空港効果を過信した空想都市です。空港インパクト(影響)論です。
 現実はどうか。明太子店や会員制倉庫型小売店が進出していますが、来客のほとんどは空港とは無関係です。イオンモールが今秋開業予定といわれますが、動きが見えません。
 南海トラフ巨大地震・津波は、空港島と前島の重大問題です。
 りんくう常滑駅の1日平均乗降客数はわずか432人(2010年度)。無人駅です。前島には空地が広がり、「臨空都市」といえる状態ではありません。空港関連開発は県企業庁の会計悪化の要因になっています。
 名鉄常滑駅ビルのパレマルシェは閉店しました。常滑市は、空港税収に期待するインフラ整備への集中投資で借金が急増。福祉・市民サービスの縮小・廃止を強行しています。
 「空港インパクト」論はマボロシでした。
 埋立計画当時から、県議会や常滑市議会で日本共産党は批判の声をあげていました。当時、県議だった私は、関西国際空港の実態を調査し、国際空港の地域経済波及効果は限定されており、都合の良い数字をかき集めた需要予測にもとづく地域開発計画は破たんすると警告しました。
 愛知県民有志は、空港関連開発への公金支出差止請求訴訟を起こし、浪費と環境破壊の埋立計画を告発しました。裁判所はこの訴えを退けましたが、私は住民側が勝ったと思っています。「空港インパクト論」の破たんは現実が実証しています。
 いま、「リニア新幹線インパクト」が新たな大型開発推進のスローガンになっています。
 革新県政の会は4月27日、空港ウオッチングをおこないます。