愛知民報

【13.11.10】?えん罪許さない? 名張毒ぶどう酒事件 奥西氏第8次の再審請求

 
 最高裁判所第一小法廷は10月16日、「名張毒ぶどう酒事件」奥西勝死刑囚(87)の第7次再審請求で、弁護団の特別抗告棄却を決定しました。

 えん罪事件として奥西氏を守る活動を進める市民は、同30日に名古屋市内で抗議の集会を開き、奥西氏と弁護団は11月5日に第8次再審請求をしました。

 事件は1961年、三重県名張市で農薬入りのぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡し、犯人として奥西さんが逮捕されました。

 64年の一審判決は奥西氏に無罪を言い渡しました。69年の二審は逆転死刑。72年に最高裁が上告を棄却し死刑が確定しました。

 奥西氏は事件から52年間、獄中から無実を訴え何度も再審請求を行っており、日本弁護士連合会も第5次再審請求から、えん罪の疑いが強いとして奥西氏を支援しています。

 奥西氏は今、肺炎で危篤状態になり、八王子医療刑務所に収容されています。

 抗議集会で、稲生昌三特別面会人(日本国民救援会愛知県本部顧問)は「24日に奥西さんと面会しましたが、悔しそうな様子でした。最高裁の決定はさらなる死刑宣告です。胸が詰まります」と述べました。 

 また、不本意な自白や誤認逮捕を防ぐための、警察や検察における取調べの可視化に安倍政権が消極的な態度を示していると厳しく批判しました。

 鈴木泉弁護団長は「過去に、寝たきりの死刑囚に刑が執行された例もあります」と指摘しました。
 さらに「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則に忠実に従うべきだと強調し、「えん罪は司法の過誤である。世論の力で最高裁を包囲しよう」と呼びかけました。

 同事件をテーマにした映画「約束」に出演した俳優の天野鎮雄氏が「一審無罪で二審死刑なんてありえない」と訴えました。