愛知民報

【13.09.22】過労死防止 基本法制定へ 人間らしい労働 実現を 

水野弁護士力説

 過労死の労働災害認定に取り組む全国の弁護団、遺族でつくる「全国過労死を考える家族の会」などが制定をめざす「過労死防止基本法」。100万署名に取り組みながら多くの国会議員を動かし、6月に超党派の議員連盟準備会が発足しました。

 法案は、国が過労死はあってはならないことを宣言する、国・自治体・事業主の責務を明確にする、国は過労死に関する調査・研究と総合的な対策を行う―の3つの柱で構成。基本法の理念に照らして、労働基準法や労働安全衛生法などの解釈・運用を行います。

 過労死弁護団全国連絡会議の水野幹男代表幹事は8月31日、愛知働くもののいのちと健康を守るセンターの総会で講演し、基本法の意義を語りました。

 水野弁護士は、安倍内閣が検討をすすめている、労働時間規制緩和=年収が一定水準以上の人は週40時間上限の労働時間規制を適用しない、解雇の自由化、有料の職業紹介―などの動きを「この労働法制見直しでは過労死は増える。非人間的で、労働者の安全や人間性は眼中にない」と述べ、人間らしい労働実現を社会に訴えることの大切さを強調しました。

 また「労働基準法は労働者が人間らしい生活を送るために憲法25条をもとにできたもので、使用者の手を縛る法律。基本法制定は労働法制の規制緩和の対極にある運動だ」と力説しました。

 その上で「過労死をなくすことは誰も反対できない。これを高く掲げて基本法を制定し、労基法の精神を守らせていこう。規制緩和に反対するいろんな運動と共同しよう」と呼びかけました。

 センター総会は、職場から過労死・過労自殺をなくす運動の強化と、過労死防止基本法制定を各自治体に働きかけ、議会の意見書採択の運動に取り組むことを決めました。