子どもの貧困なくすネット 名古屋市の実態学ぶ
「なくそう!子どもの貧困ネットワークあいち」が12日に名古屋市内で開いた集会で、児童虐待の実態が明らかにされました。名古屋市の現状を市職員労働組合の塚本道夫さんが報告しました。
2012年度に市の児童相談所が対応した虐待は1532件、うち就学前児童は664件。一時保護に至ったのは408件、施設入所は90件でした。虐待の通報者で一番多いのは「警察」。次いで「近隣住民」「学校」でした。
塚本氏は「父母の両方から虐待を受け、生活できる場がなくなっている子どもたちが急増しています。しかし、見える虐待は?氷山の一角?。本人の告白で分かる性的虐待や、虐待に該当するか否かの経過を見る必要がある育児放棄は対応が難しい」と述べました。
虐待のあった世帯の7割以上が経済不安を抱えています。生活保護受給率は14・4%。公営住宅に住む世帯では26・3%で一般世帯の2倍以上です。
塚本氏は「虐待のある世帯で不安定就労が多い。一人親家庭ではダブルワークの親もいます。貧困が社会的孤立を招き、子育てを困難にしている。子どもや保護者のサインを見逃さないことが大切」と強調しました。
塚本氏は、社会保障の原則を自己責任に矮小化し、公費投入を削減する国の政策を厳しく批判。「虐待を防止するために、貧困の連鎖を断ち切ることが必要。国は社会保障拡充や教育の無償化など抜本的対策をとるべきです」と指摘しました。