愛知民報

【13.09.15】稚魚の漁獲激減で ウナギ価格が高騰 一色うなぎ漁業協同組合を訪問

 栄養価が高い食品として知られるウナギは古くから日本人に親しまれています。愛知県の養殖ウナギ生産量は全国2位(2011年)。近年シラスウナギ(天然の稚魚)の漁獲量が激減し、ウナギの出荷価格が高騰しています。8月28日、日本共産党の本村伸子愛知県常任委員、前田修西尾市議が西尾市内の一色うなぎ漁業協同組合を訪ねました。
 

生産量は 10年間で半減

 
 「『一色産うなぎ』は登録商標です。矢作川の水を引いた養殖池でシラスウナギから育てたものに限ります」

 同漁協の鵜殿健治組合長(66)は「鰻」のロゴマーク入りのシャツを着て応対。事務所や作業場のスタッフの服装にも同じロゴが入っています。作業場では出荷前のウナギに水をかけながら泥を吐かせる「活き締め」が行われていました。

 1匹0・2?だったはシラスウナギはビニールハウスの養殖池で200?まで、関東で提供される「うな重」の大きさに合うまで育てられます。

 昨年の一色のウナギ生産量は3350?。2001年の半分近くに減っています。
 組合長は経営の厳しさを語ります。「シラス1??あたりの単価は今年の平均で265万円。以前は100万円を超えることはありませんでした」

 事業主の数は01年に131軒だったのが今年は100軒まで減少。うち、シラスウナギを養殖池に投入したのは71軒だけでした。

 「本当に苦しいが、必死で生き残っています。多くが家族経営の個人事業主で、身を削ることで生産コストを下げています」

 シラスウナギの漁獲量や親ウナギが減少するなか、ウナギの人工ふ化の成功が期待されます。組合長は国に対する要望を語りました。「親ウナギ1匹が抱える卵は100万個です。人工ふ化の歩留まり向上に力を入れてほしい。国には業界上げて要望しています」

 国がこの要望を生かし十分な対策を行えば、一色産うなぎの活路が開かれます。どの事業者も矢作川の水で育てるので、組合全体の技術水準が高く、ウナギ養殖に挑戦する若い後継者も育っているからです。

国も保護に のりだす

 
 水産庁は昨年6月から運転資金の借り入れ支援や親ウナギの放流、河川の生育環境の改善などの緊急対策を実施しています。

 東アジアに生息するニホンウナギの産卵場所はマリアナ諸島近くといわれますが、詳しい生態はわかっていません。大量に人工ふ化させる技術も実用化されていません。

 全国のシラスウナギ漁獲量は1969年の151?から12年には3・7?まで激減しました。愛知県でも82年の3966??をピークに12年には331??に減りました。

 環境省は今年2月、ニホンウナギを「絶滅危惧?B類」(近い将来における野生の絶滅の危険性が高い)に指定。国際自然保護連合も検討を始めています。

 水産庁は、ウナギ養殖やシラスウナギ漁が盛んな県と協力し、産卵で海に戻る「下りウナギ」の保護に乗り出しています。愛知県も釣り人に、釣り上げた時は川に戻すよう呼びかけ、シラスウナギ漁の許可期間を短縮するなど対策に乗り出しています。