愛知民報

【13.09.01】空自が米爆撃機護衛訓練 小牧基地機が空中給油

 航空自衛隊のF15戦闘機などが米国アラスカ州で実施された米軍のB52戦略爆撃機による空爆訓練に護衛機として参加していたことが分かりました(東京新聞8月13日付報道)。この訓練には空自小牧基地(愛知県)所属の空中給油機も参加したと見られます。安倍政権がねらう集団的自衛権の行使を先取りする爆撃訓練を米軍と自衛隊が一体でおこなっており、事態は重大です。

核攻撃戦略に 組み込まれる

 B52戦略爆撃機は、大陸間弾道弾(ICBM)、弾道弾搭載原子力潜水艦(SSBN)と並ぶ米国の核攻撃戦略の3本柱の一つ。

 その空爆は、相手国への核攻撃をふくむ侵略です。航空自衛隊のB52空爆訓練参加は、集団的自衛権行使が核攻撃を含めた侵略戦争参加であることを示しています。

小牧基地の 侵略的強化

 この演習に、石川県の空自小松基地のF15戦闘機とともに、小牧基地のKC767空中給油機が参加しています。戦闘機と一体でB52による空爆を支援――小牧基地の侵略的強化にほかなりません。

 自衛隊と米軍は2010年10月、航空自衛隊の空中給油機が米軍機に給油できる「覚書」を締結しています。集団的自衛権が行使されれば、小牧基地の空中給油機は日米の戦闘機と一体で、海外で戦争することになります。

日米同盟担う 中心基地に

 小牧基地は「後方支援基地」と言われますが、実は自衛隊海外派兵の拠点です。

 集団的自衛権行使が認められていない現段階では、「後方支援」は海外派兵そのものです。自衛隊関係者は「空自で後方支援といえばC130とKC。いずれの機体も有する小牧基地しか、将来の日米同盟を担えない」(「中日」09年5月31日付)と語っています。

集団的自衛権行使の先取り 愛知県平和委員会 事務局長 矢野創さん

 核攻撃の能力をもつB52戦略爆撃機の援護訓練は、自衛権として正当化される範囲を逸脱しています。訓練には小牧基地のKC767空中給油機も参加していますが、アラスカで行う訓練は、他国の領土に進出して行う憲法違反の戦闘行為そのものです。

 訓練は日本有事とは関係がなく、アメリカの戦争に参加するための訓練であり、集団的自衛権行使の先取りであることは明白です。

小牧基地とは

 名古屋市の北方にある航空自衛隊・小牧基地には、イラクに派遣されて武装米兵を輸送したC130輸送機、かつて自民党政権が自衛の範囲を超えると保有を否定した空中給油機4機が所属しています。

 同基地は、米軍と連携し地球的規模の海外活動を主任務とする空自最大の輸送機基地になっています。

県営空港の軍用化、事故多発

 小牧基地の所属機は愛知県営名古屋空港の滑走路を利用しています。同空港は常滑の中部国際空港完成後、自衛隊機の使用の割合が高まり、米軍も使用する軍用飛行場の性格が強まっています。

 管制塔は空港側から基地内に移設され、自衛隊の管制隊が運営しています。滑走路での空自F2戦闘機の墜落・炎上、米海軍戦闘攻撃機の緊急着陸など軍用機事故が頻発しています。

敵基地攻撃も

 小牧基地と名古屋空港の周辺には、ミサイルや戦闘機など航空兵器の軍需工場があります。三菱重工業の小牧南工場は空自の次期主力戦闘機F35の生産拠点になると報道されています。安倍首相はF35を敵基地攻撃に活用すると発言しています。

 そうなれば、小牧基地の空中給油機がF35に空中給油し、一体で海外侵攻をおこなうことになります。

基地強化反対の運動

 基地周辺の各自治体や住民は、空港の基地機能強化反対に取り組んでいます。小牧基地祭での空自飛行隊ブルーインパルスの危険な曲技飛行の実施を阻止してきました。侵略基地化に反対する運動が高まりつつあります。