名古屋港は中部地方のものづくり産業を支える巨大インフラです。地域産業を支える身の丈にあった整備は必要ですが、ともすれば必要以上に大型開発が進められがちです。
この間、名古屋港ではコンテナターミナルの大水深(マイナス16?)岸壁が過剰に整備されてきました。しかし港湾の「選択と集中」を進める国の国際コンテナ戦略港湾に選ばれず(京浜と阪神の二港湾に国費を集中投入)、コンテナ関連の大型事業は一服状態になっています。コンテナ施設については管理運営の民営化が現在の焦点です。
かわって大型開発の焦点となってきたのが国際バルク戦略港湾です。
バルクとは、ばら積み貨物の総称で、具体的には鉄鉱石などの資源、石油や石炭、LNG(液化天然ガス)などのエネルギー、穀物などの食糧などを指します。
国は、これらの国際(輸入)バルク貨物を大型船舶の活用等で安定的かつ安価に供給することを目的に、国際バルク戦略港湾を2011年5月に全国で13港選定し、改定港湾法では「特定貨物輸入拠点港湾」として位置づけました。
名古屋港は穀物(とうもろこし)を扱います。計画では、穀物関連産業の競争力強化を目的に、知多市の北浜ふ頭前の海面を新たに埋立て、新食糧コンビナートを形成し、超大型船が発着できるように桟橋や岸壁を整備し、航路と泊地の浚渫(しゅんせつ)を進めます。
私は6月議会で、バルク戦略港湾の費用対効果について質問しました。当局は、関連整備費は2360億円、加えて連携港の清水港と田子の浦港の整備に200億円、合計2560億円。それによる物流コストの軽減額は年間53億4千万円と答えました。
私は「元をとるまで48年もかかる計画だ。費用対効果を考えても見直すべき」と指摘しました。
大型船舶による大量一括輸送は一見合理的ですが新たな保管コストも生じます。そもそも食材料の輸入拡大が問題で、TPP参加を前提にした穀物メジャーのための公共事業がバルク戦略港湾です。
必要以上の巨大開発をチェックする議会の役割を果たすためにがんばります。