愛知県の大村秀章知事は3日、県が来年度から実施を検討していた福祉医療制度への一部負担金の導入について、実施の見送りを正式に表明しました。
県医師会、愛知県社会保障推進協議会、市町村などの強い反対が大村知事を追い込みました。
福祉医療は、子ども、障害者、母子・父子家庭などを対象に、県と市町村が補助し、保険医療の本人負担分を無料にする仕組みです。
県内のほとんどの市町村が県の制度に上乗せして、子ども医療費の中学卒業までの無料化など、全国に誇る福祉医療制度を実現してきました。
県は来年度から一部負担金導入、17年度から所得制限の方針を示していましたが、県内54市町村中34の議会が制度の維持・拡充を求める意見書を採択していました。
医師会も反対を表明し、県社会保障推進協議会は制度改悪に反対する署名運動や宣伝、市町村議会への意見書採択の請願と全力をあげました。
日本共産党は今年2月、福祉医療制度改悪を阻止するための県民運動を呼びかけるアピールを発表。大村知事に対して、福祉医療制度改悪を導入せず、医療費無料化を維持・拡充するよう申し入れていました。
知事は一部負担金導入は見送りましたが、所得制限は検討するとしています。
愛知県社会保障推進協議会事務局長 小松民子さんの話
県民の大きな怒りが県政を動かしました。地域医療を支える医師を先頭に地元の自治体に請願を提出するなど立場を超えて運動が大きく広がりました。
知事は所得制限をあきらめてはいません。今後、県政監視を強め、改悪の芽を摘むと同時に、制度拡充を実現するために声を上げていきたいと思います。