JR東海が建設を計画するリニア中央新幹線。同社は事業の必要性を「東海道新幹線の需要逼迫(ひっぱく)」「大災害時のバイパスづくり」と説明します。しかし需要は逼迫しておらず、災害の危険や自治体の財政負担など多くの問題が指摘されています。建設を認めた国土交通省交通政策審議会の答申案に対する市民意見では、反対と中止、再検討を求める意見が73%を占めています。
同事業は東京~大阪間をほぼ直線に結び、超電導磁石で車両を浮上させ、時速500??で走行させるもの。2045年開業が目標。
27年開業予定の東京~名古屋間は全長286??のうち約256??がトンネル区間。難工事と安全上の不安が指摘されています。
リニア新幹線の建設費は9兆円。JR東海が自社で負担するといいますが、建設費の膨張による経営悪化や在来線のサービス低下が指摘されています。
また、現行の新幹線に比べ電力消費量が3倍にのぼり、リニア特有の電磁波障害の発生も懸念されています。
愛知県の大村秀章知事は昨年12月の県議会で「リニア中央新幹線開通をにらんだ地域づくりの重要性が高まっている」との認識を示しました。
河村たかし名古屋市長は、「世界に冠たるナゴヤ都市圏として、もう一段高みに大きく飛躍する」と述べ、巨大開発に前のめりです。
同市はリニア中央新幹線関連準備室を設置。リニア開業を見越して、名古屋駅周辺の開発や、ターミナル機能を強化する体制をとりました。
県と名古屋市は愛知万博を起爆剤に、巨額の公費補助を投じて名駅周辺の高層ビル建設を応援しましたが、企業の撤退や規模縮小が続き、オフィスの空室率が上がりました。税の浪費やまちづくりのゆがみにきびしい監視が求められます。
「必要性ない」 日本共産党 佐々木憲昭衆院議員が追及
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は4月15日の衆院予算委員会分科会で、リニア中央新幹線について「必要性はなく、住民の意見も聞かずに進めている」と追及し、建設計画の凍結を求めました。
巨大地震が発生したとき、リニア中央新幹線が耐えられるか疑問視されており、異常事態発生時の救出体制にも不安の声が上がっていると指摘しました。
中間駅建設が予定される岐阜県中津川市は新駅の周辺整備に350億円の負担が必要といわれ「自治体財政が大変深刻」と強調しました。