参院選で共産党の躍進を 井上さとし参院議員に聞く
憲法尊重義務をもつ安倍晋三首相が、改憲へと暴走しています。憲法9条改定の条件をつくるために、まず改憲発議要件を定めた96条を変える危険な動きです。その情勢と、改憲策動を阻止するたたかいについて、日本共産党の井上さとし参院議員(参議院憲法審査会委員)に聞きました。
まずは96条を変え 憲法の性格を壊す
―首相は改憲に前のめりですね。
井上 安倍首相は2月28日の施政方針演説で「憲法改正に向けた国民的な議論をすすめよう」と述べました。憲法尊重義務がある首相が改定の呼びかけを立法府に向けて行ったことは重大です。
首相は、9条改憲にむけてまず改憲の発議要件を定めた憲法96条改定の動きを強めています。菅義偉(よしひで)官房長官は、政府として96条改定に全力で取り組むと発言しました。
憲法96条は、改憲発議は衆参両院の3分の2以上で、そして国民投票という高いハードルを設けています。
その理由は、憲法の本質的な役割が、ときの政治権力が平和、自由と民主主義、基本的人権を壊すことができないように?国民主権の立場にたって権力を縛る?ことにあるからです。外国でも3分の2以上の改憲発議要件をもつ憲法は少なくありません。
改憲発議要件を国会の過半数以上に変えると、その時々の政権の思惑でいつでも改憲発議できることになり、憲法の本質的な性格を壊すことになります。
これに呼応して、 日本維新の会とみんなの党が、今国会中に96条改定原案を提出するとしています。15日には両党に加え、民主党議員も参加して、「96条研究会」が国会内で開かれました。
ねらいは9条改定 海外の戦争に参加
―この動きの一番のねらいは9条改定ですね。
井上 政府は、1952年にサンフランシスコ平和条約が発効した4月28日に「主権回復の日」式典を開きます。これは、日本国憲法を「主権回復」以前に押しつけられたものとして改変する動きと一体の流れです。
東京新聞は「主権回復を強調することで占領下で制定された日本国憲法に疑問を呈し、憲法改正の機運を高めるねらいがあるとすれば看過できない」と批判しています。
さらに安倍首相は9日、テレビ番組で、9条を改定し国連軍など集団的安全保障に参加する可能性に言及しました。アメリカとともに海外の戦争に参加するねらいは明白です。
策動を許さぬ力は 国民のエネルギー
―改憲策動を打ち破る、広範な国民の共同が重要ですね。井上議員の決意をお聞かせください。
井上 96条を変えようというのは、戦争をしないという誓いや基本的人権を守るという憲法の一番の骨組みに対する攻撃であり、9条改定と一体であるということを訴えていきたい。
自民党が主張し続けた改憲を許してこなかった力は、憲法を守り生かす国民の巨大なエネルギーです。世論調査でも、9条改憲に国民の過半数が反対しています。
改憲を許さない国民の大きな力を結集する場が7月の参議院選挙です。改憲勢力は参議院でも圧倒的多数を握ろうと全力をあげています。まさに正念場のたたかいになります。
党をつくって91年、反戦平和・民主主義を貫いてきた日本共産党を伸ばすことこそ、改憲策動を打ち破る最大の力です。国民のみなさんと力をあわせて奮闘します。