岐阜県は10日、敦賀原発(福井県敦賀市)で福島原発と同規模の事故が起きた場合の放射性物質拡散予測を発表しました。気象条件によっては、避難基準とされる20?シーベルトの汚染地域が愛知県北部に及び、一宮市、犬山市、江南市、大口町、扶桑町が含まれます。20?シーベルト未満の県内地域はさらに広範囲にわたると見られます。
自治体関係者から聞き取り
本紙は愛知県と放射性物質が拡散する恐れのある自治体に聞き取りを行いました。
一宮市の長谷川武危機管理室長は「報道に驚いた。周辺自治体と協力しあい、愛知県を通じて岐阜県に詳しいデータを求めていく。今回の想定はあくまでもシミュレーション。必要以上に恐れず、正しく恐れることが大事」と、対策の重要性を指摘しました。
県庁災害対策課の担当者は「愛知県独自のシミュレーションはなく、岐阜県から入手した資料を関係市町に送った」と説明。
犬山市の担当者は「対策は県と相談して考える」と、とまどった様子でした。
愛知県が、ただちに抜本対策をとることが求められています。
一宮市 市長「原発稼動だめ」 共産党尾関議員らの質問に
日本共産党の尾関宗夫一宮市議は10日の議会で、谷一夫市長に、原発の危険性と安全なエネルギー政策への転換について見解をただしました。他の議員も質問しました。
市長は、原発が立地する地元が原発を稼動させないことが第一との見解を表明。市長は6月議会でも、尾関議員の質問に、政府は脱原発へかじを切るべきだと答弁しています。
尾関議員は13日の市議会福祉健康委員会で、原発事故に備え、市内の保健センターに放射能による甲状腺障害を防止するヨウ素剤を備蓄するよう提案しました。
愛知でも住民避難の線量 岐阜県が予測
岐阜県が10日に正式発表した、敦賀原発の大事故を想定した放射性物質拡散予測の概要は次のとおりです。
同原発から岐阜県揖斐川町まで直線距離で25??。原発が立地する若狭湾から西よりの風に乗って、放射性物質が大量に流入すると予測しています。
地面に降下・沈着して外部被ばくをおよぼすセシウムなど粒子状物質が愛知県境まで広範囲に広がる可能性を指摘しています。
放射性物質が愛知県まで到達する想定は、?春、西北西の風、弱い雨?夏、北西の風、梅雨前線が停滞して大雨?秋、北西の風、晴れのち曇りまたは雨―の3ケース。
一宮市、犬山市、江南市、大口町、扶桑町で年間の外部被ばく量が20?シーベルトに達する恐れが指摘されました。この数値は、福島第1原発事故で住民を避難させた放射線量に相当します。
原発ゼロただちに 尾北医師会長 渡部敬俊さん
敦賀原発で事故が起きれば、放射性物質が愛知まで拡散するのは当然です。ヨウ素剤の備蓄は緊急課題です。
福島原発の事故後の政府と東電の対応そのものが、原発事故を制御できないことを明らかにしました。日本のような地震多発国で原発をつくること自体が問題です。
「原発はやめてほしい」というのが国民の声です。
愛知への影響 市民が風向き調査
脱原発市民グループが今年3月、美浜原発(福井県)付近から1000個の風船を飛ばしたところ、愛知県の一宮市のほか、小牧市、春日井市、北名古屋市、高浜市に落下しました。福井県で原発事故が起きれば、風向きによっては愛知県内の広い範囲に放射性物質が拡散するおそれがあることを示しました。
今回の岐阜県の予測は、風船による調査の結果を裏付けたといえます。
浜岡原発の対策も急務 日本共産党 衆院比例東海予定候補 かわえ明美
敦賀や大飯など福井原発群は、活断層の密集地帯にあります。
今回の予測は、敦賀原発で放射性物質の大量放出事故がおきた場合、高濃度の放射性物質が愛知県に及ぶことを示しました。
私は、緊急対策として国・自治体・原発会社に、原発の安全対策、住民を守る放射線防護策を求めます。
愛知県は、県境から50?東、東海地震の想定震源域にある浜岡原発の放射線量拡散予測を行うべきです。
民主党政権のエネルギー新「戦略」は「原発稼働ゼロ」と言いながら、再稼働や新設をすすめる内容です。
「即時原発ゼロ」こそ、国民を守る未来のある道です。日本共産党は、再生可能エネルギー社会の実現をめざしがんばります。