愛知民報

【12.09.09】南海トラフ巨大地震 新想定に衝撃 愛知で最大2万3千人の死者 

中央防災会議が公表

 内閣府中央防災会議の有識者会議は8月29日、駿河湾から四国沖にのびる南海トラフで東日本大震災と同じマグニチュード9規模の地震が発生した場合、全国で最大32万人、愛知で2万3000人の死者が出るとの想定を発表しました。県民に強い衝撃を与えています。

 最大の死者数となるのは、冬の深夜で多くの人が寝静まっている▽秒速8?の風が吹いている▽東海地方を中心に被害を及ぼす地震が発生―などの条件が重なるケース。
 ただし、全員が地震後すぐに避難を開始したり、建物の耐震化率を100%にするなど最大限の対策がとられておれば、犠牲者は6万1000人に抑えられるとみています。
 各自治体が防災・福祉最優先のまちづくりを進め、住宅耐震化助成などに取り組むことが、住民の命を守ることになります。
 静岡県御前崎市の中部電力浜岡原子力発電所(全基停止中)周辺の最大津波高は19?。中部電力が設置工事中の18?の防波壁を上回っています。同原発を再稼動させず廃炉にすることが求められます。

防災・減災に力尽す 日本共産党 愛知県自治体部長 林信敏

 愛知の日本共産党は、「福祉・防災のまちづくり」を公約しています。国と市町村の党議員団が連携し、災害弱者支援、民家耐震化、災害情報伝達、水防施設強化、避難塔設置、石油基地防災強化を実現しています。
 防災機能を弱める「行革」の見直しや原発廃止を求めています。
 今後の防災・減災対策で、巨大地震の被害を大幅に減らすことができます。日本共産党は国民の苦難軽減が党是です。大いにがんばります。

小学生と住民が避難訓練 田原市 市長「死者ゼロめざす」

 最大津波高22?、浸水は最大10?以上、津波到達最短時間12分と想定された、渥美半島太平洋側の田原市堀切地区。ほとんどが海抜5?地帯で、住民と小学校が合同で高台に避難する訓練を行っています。
 6月の訓練で、津波来襲の放送とともに各家庭からいっせいに高台に。小学生のほとんどは避難訓練や持久走の成果もあり15分以内に避難しましたが、大人の多くが30分以上と、課題の大きさが浮き彫りになりました。
 市が堀切地区で1日に行った防災訓練には自主防災会、各種団体や企業などから約1000人が参加。地震発生直後の避難や負傷者救出、災害ボランティア受け入れなどの訓練を行いました。
 鈴木克幸市長はあいさつで「日頃から?津波だ、すぐ逃げろ?を合言葉に備えてほしい。市は市民の命と財産を守り、死者ゼロをめざして防災計画を見直し、実行していく」と述べました。

県内の地震・津波・死者想定

 愛知県内の被害想定の特徴は、深刻な津波被害とともに、建物倒壊による死者が全体の65%と想定されていることです。震度は7から6弱の範囲で、全壊・消失棟数は38万8000棟にのぼる恐れがあります。
 津波による浸水は全県で9870?、被害は31市区町村に及びます。最大で豊橋市と田原市が10?以上、半田、碧南、西尾、南知多、美浜の各市町が5?以上の想定です。