愛知民報

【12.08.19】愛知に見る 「海外派兵国家」づくり

 8月15日、67回目の終戦記念日を迎えました。侵略戦争への反省と戦争放棄が戦後政治の出発点でした。いま、民主党政権は逆の方向に暴走し始めています。野田首相は5月、オバマ米大統領に米軍と自衛隊の共同軍事行動を約束。集団的自衛権行使に踏み込もうとしています。「地球規模で米軍とともに戦争する自衛隊」――愛知の危険な動きを見ます。

伊勢湾で機雷戦訓練

 
 米国のアジア太平洋重視戦略のもと、名古屋港と伊勢湾の軍事利用が拡大しています。

 名古屋港には、海上自衛隊の艦船のほか、米海軍の核兵器搭載可能艦が頻繁に入港しています。

 海上自衛隊は一昨年、伊勢湾にヘリ空母やイージス艦、掃海母艦など13隻の艦隊を集結させ、洋上訓練を実施しました。

 今年2月には、伊勢湾内で20隻1000人の掃海部隊による実戦的な機雷戦訓練を実施しました。

 民主党政権は、9月に米軍がペルシャ湾で実施する機雷戦訓練に自衛隊の掃海部隊を参加させる方針です。

米戦闘機に空中給油

 
 航空自衛隊小牧基地は海外派兵の先兵です。イラクに派遣された同基地のC130輸送機部隊は米軍戦闘部隊の空輸にあたりました。

 小牧基地には2008年から空中給油・輸送機が4機配備され、アラスカでの米空軍指揮下の空中給油訓練やハイチへの陸上自衛隊の物資輸送をおこなっています。

 2010年10月、航空自衛隊は空自の空中給油機が米軍戦闘機に給油できるとする覚書を米軍に提出しました。小牧の空中給油機を使った日米共同軍事作戦を可能にする憲法違反の内容です。 

市街地で武装行進

 
 名古屋市守山区に司令部をおく陸上自衛隊第10師団は、歩兵を中心に施設大隊や戦車大隊、核戦争対応部隊をもつ海外派兵部隊として強化されています。

 米海兵隊との共同訓練や中東地域を想定した市街戦訓練をおこない、2005年の陸自第5次イラク派遣の中心部隊となりました。

 同師団は、国連平和維持活動(PKO)としてゴラン高原、東ティモール、南スーダンなどに派遣され、憲法の平和原則に反する海外派兵が常態化しています。

 県内市街地で、武器を携帯した行軍訓練をおこない、市民の不安が高まっています。 

日米安保は廃棄を 愛知県平和委員会 事務局長 矢野創さん

 私たちは、日米軍事同盟打破、基地撤去、核兵器廃絶などを求め、地域・職場・学園で運動をリードしてきました。

 国民が強く反対している普天間基地へのオスプレイ配備問題で、アメリカにモノも言えない日本政府の姿に、日米安保条約の対米従属の姿が誰の目にも見えやすくなっています。

 国民の命を守り、平和な愛知をつくるためにも、日米安保条約は廃棄するしかありません。

9条生かし、軍事に頼らない 平和的安全保障を提唱 日本共産党の 外交ビジョン

 日本の「海外派兵国家」化の根源は日米安保条約=日米軍事同盟です。日本共産党が5月に発表した“ポスト日米安保”の外交ビジョンが注目されます。

 日米関係では対米従属の安保条約をやめ、対等・平等・友好関係への転換、アジア問題では、アジア地域で発展する脱軍事同盟と平和共同体の流れに着目し、軍事依存から抜けだし、軍事に頼らない平和的安全保障の構築を提唱しています。