「第二の加害だ」
名古屋市の河村たかし市長が、姉妹都市・南京市の訪日代表団との会見の場で持ち出した南京大虐殺否定発言(2月20日)。いまだに名古屋市と南京市との交流再開の見通しがたっていません。
河村氏は、発言を撤回するどころか、右翼紙『WILL』8月号の紙上で南京大虐殺について「通常の戦闘行為はあったけれど、30万だの40万だのという数字はおかしい」と発言しています。
その数字は虐殺の犠牲者数ですが、同氏は虐殺そのものを認めようとしていません。
事態を深刻に受け止めた歴史学者や研究者、市民運動家らは7日、「河村市長『南京虐殺否定』発言を撤回させる会」結成集会を名古屋市で開きました。
活動方針として、河村市長への要請、市民宣伝や連続学習会・映画会・写真展・コンサートなどの開催、名古屋市議と各会派への働きかけ、名古屋と南京市民との連帯などを確認しました。
集会では、中国近現代史研究者の笠原十九司・都留文科大学名誉教授が記念講演しました。
人権感覚のまひ 笠原氏が指摘
笠原氏は、河村市長を「国際的マナーが欠如している」と指摘し、「河村発言は、南京事件犠牲者への?第2の加害?だ。殺された側の犠牲を想像できない人権感覚のまひがあり、南京市民への名誉毀損(きそん)だ」と批判しました。
その上で「かつての侵略戦争を否定する河村氏の政治的・思想的立場が証明された」と述べました。