財界流道州制
今回は、河村たかし氏の統治機構論です。同氏は、国―都道府県―市町村といういまの仕組みを、道州制の導入を軸に、国―道・州―「新しいマチ」に組み替えるといいます。
財界は、国と地方の公的資金を大企業支援に集中する「究極の構造改革」として道州制導入を提唱しました。
全国47の都道府県を10前後の州に再編し、愛知は東海4県を統合した「東海州」、あるいはこれに日本海側の地域をふくんだ「中部州」の一部とされます。
自民党政権は道州制導入を「国のかたちの見直し」と位置づけました。
河村氏の道州制論は財界や自民党政権の構想の引き写しです。国の仕事は「主に外交、安全保障など対外的な仕事に特化」。憲法25条が定めている社会福祉・社会保障を増進させる国の義務は見当たりません。
「基準」だけ
道州政府は何をおこなうのか。河村氏は「広域の公共事業(大型河川、広域道路など)、教育基準・医療福祉の基準設定、広域の公害対策、危機管理、警察治安、災害復旧などの事務」と書いています。
現行の地方自治法は都道府県をふくむ「地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることが基本」としています。
しかし、河村氏の構想では、州は教育や医療・福祉の実施主体ではなく基準設定にとどまります。
市町村はどうなるのか。独自の権限も財源も持たない「調整役へ後退」(河村ビジョン)します。市町村議会も「発展的に解消」するとしています。
地域まかせ
住民生活の支援事業を担うのは、小・中学校区単位につくられる住民自治組織「新しいマチ」です。これが河村流道州制の特徴です。
「新しいマチ」は教育や福祉など分野別の「ボランティア(無償)議会」をもち、住民ボランティア、企業、NPOを使い、「受益と負担の原則で教育・福祉・介護・医療を行うとされます。
これは、住民自治と民主主義の発展ではなく、住民の生活と人権を保障する地方自治体の解体です。