愛知民報

【12.07.01】愛知の航空宇宙産業 JAXA法改悪 軍拡加速 兵器生産が危険な新段階

 
 野田内閣がいまの通常国会で成立させた改悪JAXA(ジャクサ)法は愛知の航空宇宙産業を宇宙軍拡に動員するものです。

 JAXA法は、ロケット開発や人工衛星の打ち上げをおこなっている独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)のあり方を定めている法律。今回の改悪で、宇宙開発を「平和の目的」に限定する規定が削除されました。

 自公政権時代から、宇宙での軍事覇権と利権の拡大をねらう米国・米軍、日米の財界・軍需大企業、自民、民主、公明が平和目的の撤廃を求めてきました。

 彼らが2008年に成立させた宇宙基本法は、日米軍事同盟による宇宙軍拡に道をひらくものでした。

 その線上の今回のJAXA法改悪は、平和目的規定を削除し、JAXAの主務大臣に自衛隊の“最高司令官”である総理大臣を加えるもの。宇宙軍拡にJAXAを組み込むことがねらいです。

    ■

 愛知県は航空宇宙産業の全国的拠点です。人工衛星を打ち上げているH2AロケットはJAXAと三菱重工業が開発し、同重工業飛島工場(愛知県飛島村)で組み立てられています。改悪JAXA法のもと、愛知で生産される大型ロケットが、防衛省が検討している軍事偵察衛星の打ち上げに利用されるおそれがあります。

    ■

 県内の航空宇宙分野は、戦闘機など航空兵器生産でも危険な新段階を迎えています。

 防衛省は三菱重工業飛島工場で航空自衛隊の次期国産戦闘機の開発をはじめました。野田政権が採用を決めた空自の米国製次期主力戦闘機F35Aの委託生産に愛知の航空企業が深くかかわると見られています。

 戦前からの航空兵器の生産拠点である愛知・岐阜地域は昨年末、規制緩和や税制優遇によって産業集積をはかる国の国際戦略総合特区「アジア?1航空宇宙産業クラスター形成特区」に指定されました。大村県政は航空宇宙分野の設備投資や企業誘致を促進する補助制度を拡充しました。

 今年3月には県営名古屋空港の隣接地(愛知県豊山町)にJAXAの飛行実験場が開設されました。

    ■

 米国製中型旅客機の部品生産や国産小型ジェット旅客機の開発・生産を前面に出しながら、日米の政財官学の“軍拡利益共同体”が愛知で宇宙軍拡と侵略兵器の生産をすすめようとしています。

 憲法9条を生かし、民需を基礎にした愛知経済の平和的発展の方向を県民合意にしていくことが求められます。