上司のパワーハラスメントで自殺に追い込まれた豊川市役所の元児童課長・堀照伸さん(当時55)の公務災害認定裁判で原告勝訴の判決が確定し、報告集会が5月26日、豊橋市内で開かれました。
堀さんは2002年4月、税務課長から児童課長に転任しました。新たに立ち上げた事業の難航、大声で叱責する上司のパワハラ指導の下でうつ病を発症。「もう疲れました。無念」の遺書を残して自殺しました。
妻しずゑさんは公務災害認定を請求しましたが、地方公務員災害補償基金愛知県支部は「公務外」と決定。しずゑさんは「公務外認定の処分の取り消し」を求めて名古屋地裁に提訴しました。
地裁は原告の請求を棄却しましたが、高裁は公務の内容と上司のパワハラが心理的負荷となり、うつ病を発症したと認定し、1審判決を破棄。基金の上告を最高裁第二小法廷が2月に棄却し、公務災害を認めた2審の名古屋高裁判決が確定しました。
報告集会で、しずゑさんは「私も公務職場で働いていたので、管理職の大変さを知っています。命日を前にいい供養になりました」とあいさつしました。
岩井羊一弁護士は「パワハラを行うと部下が病気になり自殺するということを社会に知らしめた画期的な判決」と語りました。
豊川市はパワハラ防止を求める原告や弁護団、支援者からの申し入れに対し、マニュアルの作成や研修会など再発防止策を講じることを表明しました。