愛知民報

【12.06.03】尾張名古屋共和国 仕掛け人は自民党だった 

 「尾張名古屋共和国」構想――。河村たかし名古屋市長が提唱し、近隣自治体の首長に協議を呼びかけています。この「国」、なんでしょう?

世界企業のため

 
 河村市長は尾張名古屋共和国構想のねらいを「世界の企業が商売をやりたがるような、人口400万人の地域をつくっていきたい」と語っています。

 名古屋市内と近隣地域の住民の利便と福祉の向上ではなく、名古屋の街を大きく見せて多国籍企業を呼び込むためなのです。

 仕掛け人は自民党筋。同党市議が河村市長に、名古屋市と近隣市町村を合体させ、人口400万人規模の大都市をつくる構想を持ちかけました。

 市長の「尾張名古屋共和国」発言に“待ってました”とばかりに、名古屋市議会の自民・公明・民主は企業誘致やリニア新幹線開通に向けた大型開発、市町村合併に動き出す構えを見せています。

 大企業本位に名古屋地域を改造する――この思惑で一致したのです。

道州制へ

 日本国のなかに「共和国」をつくるというのは?たとえ話?。強い権限と財源をもつ大都市づくりの構想です。

 地方自治を破壊する道州制の導入と一体です。河村市長は尾張名古屋共和国は道州制と同時に取り組むことになると語っています。

 道州制は、県を廃止して全国を10前後の「州」に再編成し、国と地方の仕組みを住民主役から大企業主役に切り換える、あぶない日本改造計画です。

 自民・民主主導の松原前市長時代に名古屋都市圏の「都市州」構想が発表されました。

 河村市政になって「尾張名古屋州」と名付けられました。河村流に「州」を「共和国」に言い換えましたが、中身は同じです。

 河村市長は「単なる広域連携にとどまらず、それを越えた自治体」と説明しています。
 名古屋市を中心とした市町村再編を視野に入れています。

財政略奪

 二宮厚美神戸大学名誉教授は5月25日、名古屋市で講演し、「『都』が自治体の財源を略奪する」と、「大阪都構想」を批判しました。

 日本共産党愛知県委員会の林信敏自治体部長はこう指摘します。

 「河村市長は、橋下大阪市長らと連携し、道州制への流れをつくろうとしています。尾張名古屋共和国や中京都は、国の出先機関、愛知県、名古屋市、近隣自治体の権限と財源を合体させ、名古屋中心の大型開発に集中させる仕組みづくりです。この方向に、住民の自治と福祉の発展はありません」

自治と福祉

 名古屋市と近隣市町村の広域連携を言うなら、自治権を尊重しあい、住民福祉の向上のために行うことが何より大切でしょう。