愛知民報

【12.03.18】大村県政 2012年度予算案? 県民が主人公へ流れ変えよう

       愛知県の全国順位(全国47都道府県中)
 民生費(人口1人当たり。県・市町村合計)  43位 
 老人福祉費(人口1人当たり。県・市町村合計)  40位
 児童福祉費(人口1人当たり。県・市町村合計)  37位
 教育費(人口1人当たり。県・市町村合計)  43位
 医療機関に従事する医師数(人口10万人当たり)  36位
 医療機関に従事する看護師数(人口10万人当たり)  41位
 老人ホーム数(65歳人口10万人当たり)  45位

総務省「統計でみる都道府県のすがた」2010年版より

逆立ち

 大企業立地補助金1件100億円というのは大変な規模です。県内50万人を対象にする子ども医療費無料制度の年間予算額81億円(市町村への補助額)を上回る血税を大企業1社に注ぎ込むというのですから。 
 
 医師不足は深刻ですが、県の医師・看護師確保対策費は前年度の12億円から2億円減らされて10億円です。

 市町村国民健康保険への県の補助金は前年度の1億2千754万円から8928万円に減らされます。民間社会福祉施設運営費補助金も前年度より3億円近く削減です。

 「医療・健康・福祉への集中投資」という大村さんの知事選公約は看板倒れです。

 どうみても県民生活応援よりも大企業応援を優先する「逆立ち予算」です。

改悪の道

 子ども、障害者、母子父子家庭、寝たきりなどの後期高齢者への医療費無料制度は、新年度については現行通り維持されます。

 しかし、「将来も持続可能な制度とするための検討を継続」をうたっています。これは患者一部負担金導入など制度改悪の検討をすすめるということです。県は14年度から改悪実施を計画しています。

 福祉医療改悪を許さず、充実させる県民運動が求められます。

基金廃止

 リーマンショック後の経済緊急対策として雇用や医療など生活支援分野で行われてきた国の補正予算による基金事業の予算減額や期限切れによる廃止は重大な問題です。

 例えば、今年度の緊急雇用創出基金事業は前年度の129億円から56億円に減額され、今年度限りで廃止です。

 雇用不安はいぜん深刻です。基金事業を発展させる積極的な対策もないまま廃止すれば、県の雇用対策はほんとうに細くなります。国と県に基金事業の改善・発展を求めることが大事です。

教育支配

 愛知の児童・生徒1人当たりの教育費は、全国47都道府県のうちで小学校43位、中学校46位、高校43位、特別支援学校44位(2010年度調査)です。

 大村県政の教育予算は小中学校、高等学校、特別支援学校はいずれも前年度並み。全国最低水準を変える姿勢がありません。

 大村知事が、国際競争力強化を担う人材づくりと教育支配をねらう橋下大阪市長の「教育改革」に連携する姿勢を示していることを警戒しなければならないと思います。

地震防災

 新年度予算案には、巨大連動地震の被害予測調査や県立高校耐震化、津波避難訓練、住宅耐震化促進など、当然の施策があります。

 地震防災予算で大きいのは道路建設など公共事業費です。本当に優先すべき事業か、チェックが必要です。

 平常でも災害時でも住民の命を守る医療・介護・福祉の公的ネットワークこそ構築すべきです。

市町村統制

 大企業支援や大型開発に予算を集中させる「中京都構想」とセットで、市町村への県の支援削減と統制強化が企てられています。

 新年度予算には県から市町村への権限移譲の予算が計上されています。「市町村間の住民サービスのバラツキ解消を図る」という目的です。

 県の仕事を市町村に押し付けつつ、「バラツキ解消」の名で、各市町村独自の福祉・住民サービスを引き下げる方向で平準化するおそれがあります。

 県の市町村支援予算を減らして市町村再編を促し、道州制をささえる基礎自治体づくりにつなげていく方向です。

希望託せる県政に

 昨年2月の愛知県知事選で、日本共産党も参加する革新県政の会は、全国最低レベルの愛知の民生費を告発し、抜本的改善へ全国2番目の財政力を活かそうと提案しました。

 大村県政には県民の立場での改革の姿勢も政策もありません。ゆきづまった財界中心の県政を「改革」ポーズでいっそう極端にすすめようとしています。

 大村知事と連携する河村名古屋市長も同じ逆流です。希望を託せる未来はありません。
 
 財界中心から県民中心へ、県政の民主的転換は新しい課題となっています。

都道府県の財政力

 順位 財政力指数 
 ?東京都  1.16
 ?愛知県  1.00
 ?神奈川県  0.94
 ?千葉県  0.77
 ?大阪府  0.76

(2010年度決算)